被災地で緊急避難させた湿地の植物のゆくえ(その2)
保護・研究部の朱宮です。
10月9日から11日、移植した湿地植物の調査のために南三陸町の寺浜地区に訪れました(前回の調査の様子は「被災地で緊急避難させた湿地の植物のゆくえ(その1)」をご覧ください)
調査の目的は、カヤツリグサ科やイネ科の仲間など穂がつかないとわからない種類を同定するためです。また、国立科学博物館の田中先生のところでミズアオイのDNA分析のための葉のサンプリングも行いました。
今回は、調査だけではなく南三陸町復興推進ネットワーク(373NET)が主催する「おらほの酒づくりプロジェクト」の酒米の稲刈りイベントが同じ寺浜地区であり、参加しました。
前回もお伝えしたように被災地で米づくりを進めることは、耕作放棄地の活用、過疎高齢化対策、田園風景の存続に加えて湿地植物の保全につながると考えています。
稲刈りには、地元の湿地の保全にも協力していただいている阿部一郎さんと入谷地区の阿部ひさゆきさんに稲刈りの仕方、束ね方、はさがけの仕方まで教えていただきました。参加者は30名程度でしたが、地元の方だけでなく大正大学のゼミの学生たち、遠くは東京から(我々も含めて)の参加者もいたようです。
僕もほとんどはじめてだったので最初はとまどいましたが、だんだん慣れてくるとスピードが上がってきて効率よく束ねられるようになりました。一郎さん達は、最近はコンバインで刈り取りをするので手刈りは久しぶりだと言っていましたが、さすが手慣れたもので刈ったイネをさっと束ねて畦に積み上げていく様子はさしずめ人間コンバインのようでした。
みんなで稲刈りは本当に楽しかった! 地元の人が農作業はみんなが集まって「ゆいっこ」で作業をするんだと言っていましたが、こういうことなのだと少し実感できたように思います。
でも、これを維持していくのは大変なことです。復興推進ネットワークの及川さんも、たしかに継続できれば様々な問題可決につながるし、交流の場として最適ではあるけれども、作業の労力、人材不足、酒の販売、経費の問題など未解決の課題は多く、来年度以降も続けられるかはわからないとおっしゃっていました。東北復興支援の新たな形として継続できるように応援していきたいと思います。