絞り込み検索

nacsj

中池見湿地にてチャリティー・トンボ観察会を開催しました!

2014.10.23
活動報告
 icon_m_fukuda.jpg保護・研究部の福田真由子です。
 
福井県敦賀市にある中池見湿地は25haの小さい面積ながら、多くの種類のトンボが見られることで有名なラムサール条約湿地です。
そこに現在、湿地の一部と山を貫通する北陸新幹線の建設計画が進んでいますが、十分知られていません。そこで、中池見湿地の魅力と問題を知ってもらうためのチャリティー・トンボ観察会を10月19日(日)に開催しました。
 

20141019nakaikemikansatsukai3.JPG
 
 
当日は天気もよく絶好の観察日和となり、大阪や滋賀、福井などからの参加者と、福井県自然観察指導員の会のスタッフ、合わせて26人が集まりました。講師は約15年前に中池見湿地がガス基地計画で消滅する危機にあった頃、豊かな中池見湿地のトンボ相を解説した本を中心的に執筆された和田茂樹さんを迎えて開催しました。
 
午前は講師の和田さんより「トンボの世界の不思議と中池見湿地」と題して講演いただきました。卵→ヤゴ→成虫→産卵の各段階で種類によってまったく違った性質をもつトンボ達のユニークな生き方やトンボから見た中池見湿地の特徴について話していただきました。
 
 

20141019nakaikemikansatsukai4.JPG
 
続いてNACS-J福田から中池見湿地の新幹線問題について、現在のルートの自然保護上の問題点やアセス制度の課題などお話させていただきました。
 
午後は実際に野外に出て観察会を行いました。
 

20141019nakaikemikansatsukai2_R.JPG
 
現在、中池見湿地にはたくさんのアカトンボが飛んでいます。まずはノシメトンボ、アキアカネ、ナツアカネの見分け方を、実際に捕まえて体の模様や翅の色などじっくり観察しながら教えていただきました。また、中池見では2008年に初めて確認された(2011年に発表)、燈色の翅が美しいキトンボ(下写真)も見ることができました。

20141019nakaikemikansatsukai5.JPG
▲キトンボ
 
北陸新幹線の開発計画がある「うしろ谷」では、流水環境に特有なトンボのヤゴを網で掬って観察しました。中池見湿地に多くの種類のトンボが生息している理由のひとつに、他で失われてしまった環境が残っていることがあげられます。うしろ谷の水路はまさにそれを代表する場所です。何年もかかって成虫となるヤンマのヤゴが生きていくためには、うしろ谷の水環境や植生環境が安定的に守られる必要があります。
 
新幹線計画のルートになっている場所では、NACS-J福田が計画されているボックス工法や中池見湿地の水環境への影響について図を見せながら解説しました。現在、うしろ谷では、新幹線開発が与える影響について環境調査をしており、その一環で国際的に重要な渡り鳥「ノジコ」の調査をしています。その方法や現在の状況などについて、長年中池見湿地で鳥類調査をされている吉田一朗さんから解説していただきました。
 

20141019nakaikemikansatsukai1.JPG
 
今回の観察会では参加者は少なかったものの、ゆっくりとトンボを観察し、新幹線問題についても知っていただく機会となり、参加者からは「こんなに多様な生態があることを初めて知った」「中池見湿地のトンボの秘密の濃さを知った」「新幹線問題の裏が見えてきました」などの感想をいただきました。また福井県の昆虫関係者や中池見湿地で長年活動されてきたメンバーが久しぶり集まる機会ともなりました。
 
帰りにはオギの穂が揺れる中、たくさんの赤とんぼが群れをなして飛んでおり、まさに「夕焼け小焼けのアカトンボ」の風景に出会えました。そんな景色をいつまでも見られるように、地元市民団体と協力して、今後もNACS-Jは影響の大きい現ルートの見直しに向けて活動していきます。
*捕まえたトンボはその場で放しています
 
観察会の様子は中日新聞でも掲載されました。
http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20141020/CK2014102002000014.html
 

前のページに戻る

あなたの支援が必要です!

×

NACS-J(ナックスジェイ・日本自然保護協会)は、寄付に基づく支援により活動している団体です。

継続寄付

寄付をする
(今回のみ支援)

月々1000円のご支援で、自然保護に関する普及啓発を広げることができます。

寄付する