環境女子会☆「ダム撤去、緑のインフラが始まっている! 欧米、そして日本の川を語ろう~河川法」を開催しました。
保護・研究部の志村 & 安部です。
「環境女子会☆」。 なんですかそれは、と思われましたか?
じつはこれは、昨年から始まった環境法の勉強会の名称で、
発足・企画にNACS-Jスタッフの志村・安部が係わってきました。
NACS-Jは、イメージだけのキャンペーンや単なる研究でなく、
現場の自然保護問題の解決を目指しています。
現場の問題に取り組んでいると、現場だけでは解決しないことが多々あります。
法律もそのひとつ。
開発の根拠になっていたり、開発を規制していたり、
法律の役割はそれぞれですが、自然保護にはどれも深ーく関係しています。
環境に係わる法律がどう変わればいいかを考えるには勉強が必要。
そして、法律を作る人、運用する人、研究する人など、意外に接点がない
さまざまな関係者の知恵や力の接点をつくり、新しい動きも必要…
そんなわけで、環境女子会☆が始まりました。
昨日開催した第4回は河川法がテーマ。参議院議員会館に40人ほどの参加者が集いました。
お話をしてくださった、パタゴニアの篠健司さん、環境ジャーナリストの保屋野初子さんは、NACS-J理事でもあるお二人です。
NACS-J理事の日頃の活動、専門分野が光る充実した内容でした。
篠健司さんからは、パタゴニアが作成した映画「ダムネーション」の最初の方を見せていただきました。
大きな川に次々にダムが作られてきた時代が紹介されていました。そして反対運動の様子、2011年から始まった大規模ダム撤去により壊されていくダムの映像などや川を泳ぐ魚の様子などがありました。インタビューの中に出てきた人の多くは自然保護のた
めにダム撤去を支持していましたが、水力発電に頼ってきた人からは、この先本当に経済的に大丈夫なのか、危惧する声もありました。
続きは劇場での公開を楽しみにすることとして、篠さんのお話しに戻りました。
パタゴニアがこの映画を作ることになったきかっけ、目標などを伺いました。アメリカでは当面はスネーク川の下流の4つのダムの鉄橋を実現したいと考えており、日本においても市民団体と一緒に自然の川を取り戻す活動の手伝いをしたいとのこと。
映画「ダムネーション」の予告編はこちらからご覧になれます。
続いては、保屋野初子さんから、「EUにおける緑のインフラ」の解説がありました。
ヨーロッパは今、河川再生のまっただなか。緑のインフラとしての河川管理が主流です。第5回ヨーロッパ河川再生会議(2013年9月ウィーン)の様子を最初に伺いましたが、比較的若い河川技術者から100以上の報告や具体例がなされたとのこと。
河川管理の重要な手法として、河川が本来もつ多様なはたらき(多機能)をひきだし、水質浄化、水資源の感情、貯留、洪水調節など、経済的利用、レクリエーションなど多目的を果たすため、河川管理のなかに河川再生という考えを導入しています。
これまでの「自然 vs 経済」、「生き物 vs 人間」か、ではなくwin-winを狙うことが出来ます。
ドナウ川はウィーン市民のいこいの場やエコツアーの場になっています。
保屋野さんのレクチャーのなかに、住民が高い堤防をのぞまなかったため「モバイル堤防」を導入したというオーストリアの事例がありました。
地域の消防団が必要なときに組み立てて設置するようです。
日本も、このように柔軟な海外の成功事例を導入できるとよいのですが。。。
日本でもwin-winの関係を狙えるよう、法制度の改定やしくみづくりを加速させていたと思います。
参考:「緑のダムの科学 減災・森林・水環境」(共著者)
「流域管理の環境社会学 下諏訪ダム計画と住民合意」(著:保屋野初子)