第2回奄美群島森林生態系保護地域保全管理委員会に参加しました。
保護・研究部の朱宮です。
10月29日、鹿児島県大島郡徳之島町亀津の生涯学習センター開催された第2回奄美群島森林生態系保護地域保全管理委員会(米田健鹿児島大学教授委員長)に参加してきました。
奄美群島森林生態系保護地域は奄美大島に3カ所(金昨原、神屋、八津野、徳之島に2カ所(北部天城岳周辺、中部井之川岳、丹発山、犬田布岳)が指定されています。今年1月に奄美大島で第1回目が開催されたこの委員会では、来年9月に「奄美・琉球」の世界自然遺産推薦書暫定版が予定通り提出されるのに合わせて保全管理計画の策定をめざしています。
奄美での課題は、民地が多く国有林の面積が小さいために希少な固有の動植物の生息地保全に必要な十分な面積を確保するのが難しいということです。徳之島も山の際までサトウキビの農地が接しており、いわゆる緩衝地域がほとんどありません。また、国有林はそれぞれ島状に分断化しているために連続的な森林帯を作るには民地の土地所有者の協力が不可欠であるということです。簡単なようでたいへん難しい課題です。
▲天城山麓に接する農地
したがって、話題は希少種対策、外来種対策、適正利用が中心になります。また、奄美大島ではほぼ全島に松枯れが発生し、徳之島でも近年山麓に松枯れが入ってきていますが、対策は限定的です。
奄美市では、エコツーリズム推進協議会が立ち上げ各島の利用ルールについても整備が進められているようです。県も適正利用に関する検討会議、公共工事におけるガイドラインづくりなどを進めています。
NACS-Jは、昨年奄美大島の龍郷町などでふれあい調査を実施し、市民の自然とのふれあいについて記述しました。人のくらしが身近にある奄美群島だからこそ重要な地域の保全管理には市民の理解が不可欠であることを保全管理計画にも反映されるようにしたいと思います。
▲180年生とされるオキナワウラジロガシの巨木、板根が発達するが、腐朽が進んだため樹木医の指導により補修措置が施された。