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(仮称)稲庭風力発電事業の環境影響評価準備書に関する意見書を提出しました

2023.06.02
要望・声明

日本自然保護協会(NACS-J)は、岩手県北部の稲庭岳で計画されている(仮称)稲庭風力発電事業の環境影響評価準備書に対し、一部エリアで鳥類のバードストライクのリスクが極めて高いことから、該当エリアの風車設置の再考を求めるよう意見しました。

(仮称)稲庭風力発電事業 環境影響評価準備書に関する意見書(PDF/800KB)


2023年6月1日

稲庭ウインド合同会社 御中

(仮称)稲庭風力発電事業における環境影響評価準備書に関する意見書

〒104-0033 東京都中央区新川1-16-10 ミトヨビル2F
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章

日本自然保護協会は、自然環境と生物多様性の保全の観点から岩手県二戸市及び八幡平市で計画されている(仮称)稲庭風力発電事業(事業者:稲庭ウインド合同会社、最大総出力:134,400kW、基数:22基)の環境影響評価準備書(作成委託事業者:アジア航測株式会社)に関する意見を述べる。

1)上平放牧場での計画の再考を求める

本計画は、既設の牧場を最大限活用し、森林伐採を極力避けているなど自然環境、特に植生に配慮しているが、同アセス図書によると、計画地のうち7基(T26~32)の建設が予定されている上平放牧場付近は、他の計画地である遠野牧野、高曲野放牧場、白樺野放牧場と比較して、多数の鳥類の生息や渡りが確認されており、特にノスリ、ハクチョウ類、マヒワなどの衝突確率は、衝突リスクの凡例中、最も高い「0.05/年以上」と極めて高いことが示されている。このようなバードストライクが強く懸念される場所に風力発電機を設置すべきではなく、上平放牧場での設置の再考を求める。

2)同アセス図書の公開方法の見直しを求める

同アセス図書の閲覧は、環境影響評価法により定められているとはいえ、縦覧期間が 1ヶ月と短く、また、縦覧場所も限られている。インターネット上で閲覧は可能ではあるが、印刷やダウンロードができない。また縦覧期間終了後は閲覧することができないため、アセス図書の内容が、実際の計画地の状況と齟齬がないかの確認もできない。

地域住民や利害関係者等が常時、容易に精査できることが、環境影響評価の信頼性にもつながるものであり、アセス図書の公開は、地域との合意形成を図るうえでも不可欠である。全事業のアセス図書を常時公開している事業者もあり、閲覧可能期間を短くしている本事業者の対応は不親切といわざるを得ない。閲覧可能期間に限らず、縦覧期間後も地域の図書館などで、図書を常時閲覧可能にし、また、随時インターネットでの閲覧とダウンロード、印刷を可能にすべきである。

以上

上平放牧場の写真

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