みなかみ町のユネスコエコパーク検討委員会に出席してきました。
保護・研究部の朱宮です。
3月5日に群馬県みなかみ町にて第2回ユネスコエコパーク検討委員会がありました。第1回目は昨年10月20日に開催されました。検討委員会には赤谷プロジェクトでお世話になっている土屋東京農工大学教授、酒井横浜国立大学准教授をはじめ環境省、林野庁、国土交通省、林業家、谷川岳エコツーリズム推進協議会など関係者多数です。
これまで、みなかみ町はNACS-Jと毎週のように打ち合わせを重ね、まず、みなかみ町の自然や歴史文化についてまとめて理解できる資料がないことから、町民が読むことができる冊子の編集を行うことにしました。すでに目次案がきまり「みなかみの自然とくらし(仮)」として執筆依頼を行い秋には完成予定です。
次に、ゾーンニング及びコンセプトのとりまとめを行いました。ゾーニングは核心地域、緩衝地域、移行地域という3つの地域を検討していきます。大きくはみなかみ町内全域とすること、核心地域は国立公園特別保護地区、第1種特別地域、森林生態系保護地域の保存地区とすること、緩衝地域が国有林とすること、それ以外を移行地域とすることとしていました。
ただ、詳細にみていくと課題があることがわかりました。例えば核心地域は、緩衝地域で囲まなければならないというルールがあるので、大水上山周辺の森林生態系保護地域の北側を囲みたいのですが、越後三山只見国定公園の特別保護地区と第1種特別地域をすべていれると新潟県側のかなり大きな範囲に及んでしまいます。そこで理由をつけて一部を切り出すことにするのですが、新潟県側は共有地や多くの所有者からなる私有地が広がっており、範囲もあいまいで確定した図面がないことがわかりました。昔は人があまりいかない奥山は、あえて境界図面をあいまいにして、所有面積を小さく報告するといったことが行われていたのかもしれません。所有者がたくさんいれば、不在地主である場合も多く許可をとることは困難になります。
土地のエリアを確定していくというのは思った以上にたいへんなことだと感じました。最終的には、専門家やNACS-Jの担当の意見を聞きながら作成したゾーンニング案を、環境省や林野庁、新潟県、魚沼市、南魚沼市、湯沢町、地権者の方々にみなかみ町の担当者が説明をしてまわり、理解を得られ、検討会の中でそのゾーンニング案が了承されました。今後は、8月の概要申請提出に向けた準備と、保全管理計画の策定、実行体制の構築などを検討していくことになります。
第2回ユネスコエコパーク検討委員会のようす。