辺野古の海を守る緊急シンポジウムで、防衛省が設置した「環境監視等委員会」が機能していない可能性がまたいくつかの点において明らかになりました。
自然保護室の萩原です。
良好なサンゴ礁域が残され、新種や国内初記録の種が多く見つかる辺野古/大浦湾の海で、今、8月の本体の埋め立て工事に先立つボーリング調査が再開されています。
そのようななか、衆議院第一議員会館の多目的ホールで「辺野古の海を守る緊急シンポジウム」を開催し、防衛省から意見を聞きました。
日本自然保護協会では、シンポジウムにあわせて、科学的な知見に基づいた「普天間飛行場代替施設建設事業の環境保全対策に関する質問書」を事前に防衛省に提出し、その回答を求めました。
▲NACS-J自然保護部・安部真理子の発表の様子
赤嶺政賢衆議院議員、花輪伸一氏(ラムサール・ネットワーク日本)、日本自然保護協会・自然保護部の志村、安部、辻村が出席して行われた防衛省からのヒアリングでは、岩礁破砕許可に関連して沖縄県知事への資料提供が行われていない現状や、仮設桟橋の設置に使われる資材撤去事例及び破損時の回収方法が示されていないこと、現在の技術では難しいとされ成功事例のないサンゴ類・海草などの生物移植・造成に対する見解などへの質問および環境監視等委員会への情報提供や市民への情報開示が適切ではないことへの指摘を行いました。
防衛省からは、公有水面埋立承認申請書の留意事項に基づき設置された「環境監視等委員会」により適切に議論され、判断されているとの回答が議論の中心でしたが、肝心な「環境監視等委員会」は、科学者として当然行うべき委員による現地視察などがなされておらず、またその委員会の議事録の公開も適切に行われていない現状などが、次々に質問者側から指摘され、問題点が追及されました。
▲防衛省からのヒアリングの様子。左奥から2番目が赤嶺議員。
またジュゴン(環境省、絶滅危惧種ⅠA類)の生息情報については、2014年5~7月までにNGOにより確認された『埋立予定地内における150本以上のジュゴンの食み跡に関する情報』などの大きな判断材料となる科学的情報の共有やフロートの設置に伴うコンクロートブロックの大きさなどの議論が同委員会と事業者との間で行われているのかどうかさえも公表されている議事録から確認できないことから、現在現場で起こっていることが、科学的知見を持つ委員の適切な判断のもとに行われているのか疑わしい現状も分かりました。
日本自然保護協会では、「環境監視等委員会」の議論が市民が見える場所で行われ、科学的な議論ができるように要望しました。
▲激励の挨拶をする玉城デニー衆議院議員・生活の党