10周年となる綾の照葉樹林プロジェクト。照葉樹林の復元の状況。
エコシステムマネジメント室の朱宮です。
6月30日、宮崎県の綾の照葉樹林プロジェクト(以下、綾プロ)の連携会議に出席しました。今回はNACS-Jからは、亀山理事長、道家、外崎(インターン生)の4人で参加しました。昨年度の報告と今年度の事業計画を各団体から報告しました。
綾プロも今年で10周年を迎えます。すでに、記念イベントとして5月に「新緑の森へ行こう」というイベントを開催し、参加者には好評でした。7月25日には、木づかい体験イベントとして「みんなで遊ぼう木のおもちゃが綾に大集合」が開催されます。また、9月5日には綾プロ10周年記念フォーラムが開催されます。現在、10周年記念誌の冊子の編集を行っており、9月5日のフォーラムの際には配られる予定です。
このようにイベントについてはいろいろ準備が進んでいるのですが、綾プロの一番の目的である照葉樹林の復元の進捗について、関係者の中でもきちんと把握されていないので、この10年の評価をした上で次の10年を考える必要があることを指摘しました。
また、復元の見本が必要だと思いました。間伐をした後にどのような経過を経て照葉樹自然林が復元していくのか、綾プロ関係者だけなく、一般の方にもわかるような場所があるともっと具体的にイメージができ、復元を誘導していくために何が必要なのか対策を検討することができるかと思います。
翌日は九州森林管理局のメンバーと大森林道、綾中学校、照葉大吊橋を視察しました。九州森林管理局の担当者がこの4月で異動になり交代したこともあり、連携会議の中で議論となった見本林について現地で確認をしました。
▲国有林2091林小班における4残2伐の間伐跡地の状況。7年が経過しまたが、侵入した種は、シロダモ、マンリョウ、タラノキ、草本はマツカゼソウが優占していました。いずれもシカが好まない種群ばかりが目立っていました。
平成20年度に64年生の間伐を実施した、長伐期施業を実施している箇所を見学しました(上写真)。7年が経過していますが、シカの食害の影響が強く、シロダモ、マンリョウ、タラノキ、草本はマツカゼソウが優占していました。いずれもシカが好まない種群ばかりが目立っていました。
亀山理事長からは、長伐期とはいえスギの生育状況をみると材として価値のある太いものは限られているので、それだけを抜き切りしてあとは放置しておけば、すでに多くの照葉樹が侵入しているのでいずれは照葉樹に交代するのではないかと指摘がありました。局の方では、現在優先度マップを作成し、復元の可能性の高い林分を特定して復元施業を実施していくことを検討しています。
大森岳の視察後は、綾中学校を見学させていただきました。
平成26年2月に完成したばかりで、綾の町有林(イオンの森)や宮崎県産材をふんだんに使っており、校舎に入った瞬間スギの香りが心地よかったです。単に木材を使った校舎というだけでなく、個人指導室は町内の工芸家さんが作ったいすや机が置かれている部屋となっていたり、パソコンと連動して映像を映し出すことができる設備(お天気ニュースのような)があったり、トイレはウォシュレット完備、クラブ棟はもちろん木造で部室はクラブごとに個室があり、図書室の隣にはパソコンルーム完備など、最新の設備が施されていました。
ちょうど私たちが見学に伺った時には、アメリカのバージニア州から来た中学生が研修に来ていました。昨年ユネスコスクールにも登録され、海外交流も盛んになると思います。私たちの中学時代と比べると、まるで異なり夢のような世界でした。県内外からの見学も多いそうです。