“泊まれる学校”で赤谷の森まつりを開催しました。
エコシステムマネジメント室の朱宮です。
11月7~9日、「赤谷の森まつり」と綾の照葉樹林プロジェクトメンバーとの交流会がありました。
初日は、綾のメンバーにとってみなかみ町を訪れるのが初めてということで、谷川岳に登りに行きました。山麓は紅葉がきれいでしたが、谷川岳に近づくにつれて、落葉したブナ林に移り変わる様子が見られました。標高860mから1400mまで一気に登りそこから1963mの山頂まで登ります。ブナ林からいきなりミヤマナラの低木林を経てチシマザサの高山草原に変化する様子がわかりました。あいにく、天気が悪く山頂付近は雲の中でした。
翌日は、廃校(猿ヶ京小学校)を利用した宿泊施設となっている「泊まれる学校 さる小」で「赤谷の森まつり」を開催しました。
▲赤谷の森まつりでのワークショップ。子供達にカスタネットに色づけしてもらいました。
今回は、いつものような赤谷プロジェクトの紹介や専門的な内容を解説してもらうのではなく、東京おもちゃ美術館の方に子供達と一緒にワークショップを開催したり、そのお話を聞いたり、最後は新治小学校の生徒さんによるイヌワシ研究発表もありました。
赤谷プロジェクトについては、ポスターで発表したり、赤谷センターの藤澤所長からの発表があるだけにとどめ、子連れの親子や一般の参加者が楽しめる内容になっていいました。
▲赤谷プロジェクトの紹介ポスター展示
東京おもちゃ美術館では、赤ちゃんが生まれた日のお祝いにその地域の自治体が、地元の材を使って作られた木のおもちゃをお祝品として贈るというプログラムのサポート行っています。みなかみ町もこの事業に関心を寄せ、地元の生産者の思いや赤谷プロジェクトからの呼びかけでふたたび製品化されたカスタネットを使ってできないか検討しているようです。地元材の利用の要望が増えれば、地元材活用のよい循環が生まれるかもしれません。
▲東京おもちゃ美術館の馬場氏から話題提供
最後は、新治小学校の子供達によるイヌワシ研究の発表会がありました。タイトルは「イヌワシの住む「赤谷の森」を学校に再現してみる~生き物とふれあえる豊かな生物多様性を目指して~」と題しています。構成は1.イヌワシの特別な能力をしらべる、2.赤谷の森のすごいところ、とくべつなところ、3.実践活動 新治小プロジェクトはじまる~新治小にいきものとふれあえる生き物らんどをつくろう!~でした。小学校3年生の4人が協力してテーマごとに調べたり実験したりして作成したとのこと。
▲小道具を使った新治小学校の子どもたちによるイヌワシ研究の発表の様子。
発表の仕方もイヌワシの絵や小道具を自分たちで工夫して作成しており、たいへんわかりやすいものでした。特に最後の結論で、イヌワシは生態系の頂点に位置しており、最も強い生き物であると思われているけれども、環境が変化すればまっさきに死んでしまう最も弱い生き物である。との内容は本当にその通りだなと改めて思いました。
▲研究の結論も、とてもわかりやすくまとめられていました。
翌日は、綾の照葉樹林プロジェクトのメンバーでもあるてるはの森の会の河野氏と下村氏、九州森林管理局の中村氏と山崎氏とともにイヌワシのえさ場創出のための試験地などを視察しました。科学的な基礎データに基づく森林管理を実践していることにたいへん感激していました。
▲イヌワシのえさ場創出試験地視察の様子。