奄美大島と徳之島の森林生態系保護地域の保全管理計画ができました。
引き続き、エコシステムマネジメント室の朱宮です。
12月21日~22日は、鹿児島県奄美市内で第4回奄美森林生態系保護地域保全管理委員会の現地視察と検討会が開催され、私も参加してきました。この検討会は平成25年度から始まり、保全管理計画案作成を進めてきましたが、ようやく最終案が承認されました。
▲八津野地区の視察
検討対象の森林生態系保護地域は奄美大島と徳之島に断片的に存在しており、奄美大島は金作原(458ha)、神屋(630ha)、八津野(955ha)、徳之島は北部(785ha)、中部(989ha)からなり、全体で4,819haになります。
奄美、徳之島の森林生態系保護地域の特徴として、ひとつひとつのエリアが小さく周辺は民地や徳之島ではサトウキビ畑に隣接するなど民有地との連携が求められること、アマミノクロウサギやケナガネズミ、オーストンアカゲラなど絶滅危惧種の宝庫であることが挙げられます。
したがって、保全管理計画の最重要優先課題はこれらの絶滅危惧種の保全であることにつきます。一方、保護地域内にはかつて植林されたスギがあり、復元に向けて抜き伐りして常緑広葉樹の侵入を促すこと、金作原のように現地のガイドによってエコツーリズムが実施されている箇所もあり、普及啓発、連携などの必要性も記載されています。
▲放棄耕作地に植林されたスギの生育状況アラカシ、シシアクチ、ミミズバイなどの常緑広葉樹が侵入
しかし、そもそも、このような核心地域をエコツーリズムのエリアとして利用したり、手を加えて復元することが必要なのかも含めて検討する必要があると感じました。
保護地域の周辺には、民地や国有地もあり、利用できる場所が他にないのか、あるいは復元の取組も他の場所で十分に検討した上で本当に必要であると判断された場合に段階的に導入するなど、慎重を期すべきだと思いました。