愛知万博検討会議始まる~市民参加による合意形成のプロセスへの第一歩
No.448(2000年7/8月号)より転載
愛知万博の計画見直しによって、会場計画を市民参加によって検討する「愛知万博検討会議(海上地区を中心として)」が5月28日からはじまった。
■市民が自ら選び、送り出した委員が加わって会議は始まった
検討会議委員は、NACS-Jなど自然保護団体から9名、エキスポ2000地球市民の会など博覧会を推進してきた地元関係団体から9名、学識経験者が6名、博覧会協会委員が4名の合計28名。
第1回は、立候補による選挙によって、谷岡郁子中京女子大学学長が委員長に、森島昭夫名古屋大学名誉教授が副委員長に選出された。
第2回は、6月3日に開催され、博覧会の登録時期について激しいやりとりがあった。国際博覧会条約によれば、愛知万博は、3年前(2002年)の登録申請でよいが、その後条約が改正され、すべての登録博覧会は、5年前の登録が必要になったため、「12月のBIE総会で登録したい」とする通産省・博覧会協会と、「国内での合意形成が優先」とする自然保護団体の間で意見が対立。推進側の委員からも、「半年遅らせたほうがよいのでは」という意見が出た。
第3回は、6月12日に開催され、会場計画についてはげしい議論が行われた。午後に海上の森の現地視察を行った委員は、海上の森をメイン会場としたい推進側委員と、海上の森を会場とすることに反対する自然保護団体の間で議論をした。NACS-Jは、5月19日に発表した海上の森・万博問題小委員会の報告書をもとに、南地区会場計画は、海上の森の中でとくに重要な吉田川流域の自然を破壊すると説明し、多くの委員の共感を得た。
今後、検討委員会は、7月まで週1回の頻度で開き、委員が合意できる会場計画案づくりをめざす。検討委員会の模様、およびそこでの配布資料は公開されている。愛知県ではケーブルテレビで生中継され、県外の方はインターネット中継で見ることができるので、博覧会協会のホームページでご覧いただきたい。
(吉田正人・J保護研究部保護担当部長)