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国会議員へのロビーイングを続けています。

2016.01.18
活動報告
icon_tsujimura.jpg  保護室の辻村です。
 
新年が明けて早々に国会が召集され、予算審議を皮切りに国会での審議が開始されました。日本自然保護協会では、辺野古大浦湾の埋め立て問題や、南アルプスでのリニア中央新幹線建設、国立公園内での地熱開発など日本の生物多様性に危機をもたらす開発行為に対して科学的根拠を示しながら中止を求めるアピール活動をしています。
 

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▲沖縄・辺野古の埋め立て現場の様子

 
今破壊されつつある自然環境の保全は最前線の重要課題として推進していますが、同時に、同じようなことが二度と起きないようにするための活動も重要です。
残念ながら、今の環境保全に関する法律にはいくつもの穴があります。例えば、海岸に防潮堤をつくる行為は海岸法という法律に基づき行われますが、海岸法は、環境影響評価法の対象になっていません。また、海の埋め立てにおいても、購入した土砂を使用する場合、その土砂については環境影響評価の対象になりません。法律ができた当時はそれで問題がなかったのでしょうが、現在では、砂浜を覆い尽くすような大規模な防潮堤が計画されたり、外来生物が深刻な問題になったりと、状況は大きく変わっています。また人の暮らしに密接な里山のような環境を守る法律はありません。
 
こうした法律の穴を一つ一つ埋めていくことは、次に同じような問題を引き起こさないために必要不可欠です。日本自然保護協会では、法律を所管する省庁に法律改正の具体的な提案をするとともに、法律を作る立法府である国会への働きかけを行っています。
また、同じような問題意識を持つ、WWFジャパンや日本野鳥の会などのNGOのスタッフと「自然環境行政を考える有志の会」を立ち上げ、与野党を問わず法改正・立法の必要性の説明を繰り返し行っています。
 
具体的には、下記合計9項目について提案しています。
■生物多様性保全を参加制度の充実により実現するために、①環境基本法に環境権と団体訴権を位置付ける、②環境影響評価法の抜本改正と戦略アセスの法制化、③海岸法・河川法などの開発法の抜本改正の3項目。
■陸海域のかけがえのない自然を開発から守るために、④湿地・里山等保全推進法の策定、⑤海洋基本法の抜本改正、⑥国立・国定公園の地種区分の改善の3項目。
■失ってはならない希少動植物を積極的に守るために、⑦種の保存法の抜本改正、⑧鳥獣保護管理法の改正、⑨国際的な生物多様性保全への貢献促進の3項目。
 
この9項目はどれも重要です。とはいえ、どの項目も相当にハードルが高く、一気にたどり着けるものではないので、優先順位の高いものから提案しています。
 
①の環境権と団体訴権が現行法で規定されていないのは、1992年に日本国政府も署名した「リオ宣言」の原則の「環境問題の解決のためには「知る権利」「参加する権利」「チェック(訴訟)する権利」が保障されなければならない」に反しており、国際公約を果たしていないと言えます。リオ宣言から20年以上経過して、いまだに国際公約を果たしていないのは異常ですので、「自然環境行政を考える有志の会」では、これを最優先課題と考えています。団体訴権が規定されれば、開発行為で環境の恵沢を享受できなくなった場合、NACS-Jのような公益法人格をもった自然保護団体が、権利が侵害されたとして訴えることができるようになります。ただし、これは訴訟で自然保護問題を解決するのが目的ではありません。環境の保全を考えない行為は訴訟になる、しかし訴訟は時間も資金も費やすので、訴訟を避けるために環境の保全を重視するようになることが目的です。米国などの諸外国では当然の権利ですが、それによって訴訟が多発することはなく、しっかりとした環境保全措置が行われるようになっています。
 
日本自然保護協会もこの点は、環境影響評価の手続きの実効性を高めるうえでも重要なことだと考えます。日本も、2008年に消費者契約法で適格団体訴権が認められましたので、環境保護団体に訴権を認めることは可能なはずです。
 
日本自然保護協会では、日本の環境法制がより良いものになるよう、今後もいろいろなNGOとも協力しながら、自然保護を推進する法制度改正や新たな法制度づくりを働きかけていきます。
 
 

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