イヌワシの生息環境向上が宮城県南三陸地域でもはじまっています!
生物多様性保全室の出島です。
日本自然保護協会は、イヌワシの舞う日本の森を未来へ引き継ぐために、宮城県南三陸地域で活動をはじめています。
南三陸地域では、日本のイヌワシ研究の創成期である昭和30年代から、貴重な観察記録が資料として残されています。しかし、それらの資料は発行部数が少なく既に絶版になっていることに加えて、2011年の津波によって流されてしまったものも少なくありません。
そのため、今回、それらの資料の中でも特にイヌワシの生態と生息環境について詳細に記録されていた冊子を、その執筆者である立花繁信先生にご了解を頂き、100部複製しました。複製した資料は、立花先生とともに長年南三陸地域でイヌワシのモニタリングを続けてこられた南三陸ワシタカ研究会に寄贈させて頂きました。
写真:立花先生(中央)と南三陸ワシタカ研究会の鈴木卓也さん(左)、NACS-Jの出島(右)
南三陸地域では、近年、イヌワシのつがいが次々に消失しています。今後、複製した資料をもとに、様々な関係者にご協力を頂きながらイヌワシの繁殖成功率が高かった頃の生息環境を復元する取り組みを開始します。
この取り組みの重要なパートナーである株式会社佐久さんは、イヌワシの生息場所に100haを越える森林を所有されており、この夏からスギ人工林等(約12ha)において間伐を開始しています。現在は、間伐ですが、イヌワシの狩場環境を意識しながら作業が実施されています。
今後、森林計画を改定する平成30年以降は、赤谷プロジェクトで試験的に実施しているような、イヌワシの狩場環境を意識した数haの皆伐も実施することを予定しています。
引き続き、イヌワシの舞う日本の森を未来へ引き継ぐ取り組みへのご支援をよろしくお願いいたします。
間伐がはじまったイヌワシの生息場所にある民有林のスギ人工林。所有する(株)佐久さんは、今年、森林認証(FSC)も取得した。
イヌワシ生息場所でのセンサーカメラ調査も行われている。