綾の森で10年前に設置したシカ柵内外の植生のプロットの再調査をしてきました。
エコシステムマネジメント室の朱宮です。
10月29日~11月2日に綾に出張しました。10年前に設置したシカ柵内外の植生のプロットの再調査を行うためです。
当時10年生と15年生の二次林にプロットを設置しましたが、大森林道が大雨のために崩壊し、車でアクセスができないため途中から歩いてプロットまでいきました。
15年生の方は当時4~5mの樹高でユズリハやシキミ、カラスザンショウなどが混ざっていましたが、現在はユズリハが10m以上になり優占していました。
林床は暗くなり、実生は多くないですが、シカ柵内にはイチイガシやアカガシなどのブナ科の実生もシカ柵外よりも多く見られました。
▲長年見たかったキリノミタケを見ることができました。アメリカと宮崎や四国だけで発見されている珍しいキノコです。キノコが裂けて胞子が放出されますが、放出すると1日で溶けてしまうため、地元の人でも見た人は少ないと思います。また、目立たないのでなかなか見つけるのもたいへんです。
▲知の拠点設置のための委員会の様子。
綾町はビジターセンター設置に向けて準備をしています。NACS-Jの評議員でもある鬼頭教授が委員長を務めています。
▲森林生態系保護地域の保全地区拡張に向けた調査に同行しました。
保護林制度はこれまでの7つの保護林を3つの保護林に改める作業を進めています。その見直し作業に合わせてユネスコから勧告を受けている核心地域の拡張に向けた作業の一環です。
現在、綾森林生態系保護地域の保全地区が核心地域になっていますが、保全利用地区には保全地区に相当するすぐれた自然環境が残る地域があり、保全地区にすることで少しでも拡張できないか検討するための基礎資料を作成するためです。これまで、植物や両生類、鳥類などの調査が行われていますが、今回は陸産貝類の調査を地元の西先生と行いました。
▲アワジギセル