「水準の高い対策、価値のある効果を発揮する対策は、残念ながら取り得ないと思われる」
この事業においては、人やテーマを変えながらいろいろな委員会が作られてきた。しかし、事業を計画どおり、かつ予定通り進めるという前提が何より強いため、自然環境の保全に優先順位をおく考え方は、常にしりぞけられてきた。
今回、資料では「効果的な保全対策の実施」と説明されてはいても、ダムによって計画どおり流域を広範囲に水没させること、長期にわたって環境を撹乱せざるおえないダム本体建設を中心とする工事が既に日程として組まれている中では、水準の高い対策、価値のある効果を発揮する対策は、残念ながら取り得ないと思われる。大型の猛禽類に関していえば、それは、生息する個体数が十分でかつ繁殖ペアにおいてはその成功率が高い状態にある自然環境の維持である。
今からでも、そのような状態を目標とした論議をするべきではないか。また、そのような議論が交されてそれが実現するか否かが、この委員会の価値を決めるもっとも重要な要素と思われる。
(横山隆一/総務部長 猛禽類保護・徳山ダム調査資料検証担当)