「そうふけっぱらのキツネを守れ!」全国的にも重要な草地の保全を訴える緊急シンポを開催しました。
千葉県印西牧の原駅の北側に広がる千葉ニュータウン21住区開発用地の内に位置する通称「そうふけっぱら」は全国的にも重要な草地のひとつです。40年前に始まったニュータウン開発が中断していたことで、都市近郊にありながら大規模な里山生態系が残されており、多数の絶滅危惧種を含む830種以上の動植物がみられます。また、民話にも「そうふけっぱらのきつね」として語り継がれるキツネ(千葉県の重要保護動物)の県内での重要な生息地となっています。
NACS-Jと地元の市民団体「亀成川を愛する会」及び他37団体は、数年前から開発が再開されたことを受け、昨年7月にこの場所の保全と開発計画見直しを求める要望書を事業者であるUR都市機構および千葉県に提出しました。
しかし、要望書に対する十分な回答が得られないままに昨年12月から造成工事が急ピッチで進みはじめ、フクロウやキンランといった希少種が見られた森林も大面積にわたり伐採されました。UR都市機構に工事の内容・予定についての説明を求めていますが「これ以上説明すべきことはありません」という回答しかなされないという状況で、計画に沿って工事がすすめば来年度中に全てが更地にされてしまう恐れがあります。
そこで、2月9日に地元印西市にて、そうふけっぱらの素晴しさとこの場所の自然保護問題を広く地元の一般市民に伝えるための緊急シンポジウムを開催しました。当日は地元住民を中心に150名もの方に参加いただきました。
NACS-Jからはこの場所の全国的な重要性と危機的な状況を伝え、その他に3名の講師の方々から民話「そうふけっぱらのキツネ」の絵本の素話し、そうふけっぱらの江戸時代からの歴史、キツネの生態とそうふけっぱらの重要性についてお話いただきました。
最後に会場の参加者との意見交換を行い、「こんな素晴しい場所がニュータウンにあることを知らなかった」「民話に語り継がれている場所を地元としても大切にしていきたい」「もっと広くの方に知ってもらう必要がある。小学校やマスコミを通じて繰り返し伝えていくことは市民でもできる」「自主的に署名活動を行いたい」といった活発な発言がありました。
NACS-Jではこれからも千葉県とUR都市機構にこの場所の重要性と保全の必要性を強く訴えていきます。しかし、刻々と開発は進んでいます。出来るだけ多くの方に「そうふけっぱら」に関心をお寄せいただき、様々な形で一人ひとりが直接、県や市・事業者に保全を求める声を直接お伝えいただければ幸いです。
(保全研究部/高川晋一)