原子力発電はただちにやめ、廃炉・省エネ策の推進を!「エネルギー・環境に関する選択肢」に対する意見(パブリックコメント)を発表
「エネルギー・環境に関する選択肢」に対する意見(パブリックコメント)(PDF/131KB)
2012年8月3日
内閣府官房国家戦略室
エネルギー・環境会議事務局 御中
公益財団法人 日本自然保護協会
「エネルギー・環境に関する選択肢」に対する意見
(パブリックコメント)
<意見の概要>
原子力発電は即刻やめるべきです。
提示された3つのシナリオではなく、再稼働した原子炉も直ちに運転を止め、原発比率を0%にすべきです。
今、急ぐべきは、迅速な廃炉と省エネルギーの計画的な推進です。
<意見およびその理由>
●原子力発電は即刻やめるべきです。
提示された3つのシナリオではなく、再稼働させた原子炉も直ちに運転を止め、原発比率を0%にすべきです。今、検討を急ぐべきは、迅速な廃炉の計画です。
原子力発電は運転中はもとより運転停止中であっても、ひとたび事故が起きれば人類をはじめとするあらゆる生命に対し、不可逆的な悪影響を長期的に広範に与える発電方法です。安全な管理技術を追求しても、運転すれば必ず放射性廃棄物を生じ、将来世代に大きな負担を残すため、安全で持続的なエネルギー供給とは考えられません。
提示された3つのシナリオは、どれも2030年までどこかで運転を続けようというシナリオであり、福島第一原子力発電所の事故を教訓としておらず、賛同できません。
●小さなエネルギーで成り立つ国家をつくるための第4のシナリオが、まずは必要です。
エネルギーの需要は、節電・省エネ・多様なエネルギーを組み合わせ、持続可能な再生可能エネルギーで賄わなければなりません。
現在と同じだけのエネルギーを前提としている考え方こそを、見直すべきです。化石燃料の枯渇に伴う社会的不安に安全保障として備えるためにも、今こそ省エネルギー社会と持続可能な再生可能エネルギーの普及を進めなくてはなりません。
ただちに原発比率は0%とし、小さなエネルギーで日本社会を成り立たせるための、第4のシナリオをつくることが必要です。
●持続可能な再生可能エネルギー促進においても、環境影響評価はしっかり実施することが重要です。
再生可能エネルギー促進の観点から、今後、風力発電や地熱発電、バイオマスエネルギープラント等の環境影響評価が問題になってきます。「持続可能」にこれらの施設を建設するためには、地域環境との適合がきわめて重要です。環境影響評価は簡略化せず、しっかりと実施することで、長期に安定した再生可能エネルギー生産が可能になると考えます。
●地域の自然とくらしにあったエネルギーシステムの構築を進めるべきです。
地域の自然環境は地域の財産であるという認識の上に、住民、NGO、自治体、地場産業などの連携によって地域に合ったエネルギー供給体制づくりをすすめ、地域の健全な自然と安全なくらしを守るエネルギーシステムを構築すべきです。
東北被災地においても特に木質系のがれきや、未利用の人工林などは貴重な燃料資源といえます。性急に木質系がれきを遠隔地へ運んで焼却処分したり、盛土や埋め立て処分をせず、保管できるしくみをつくるべきです。また、現在進められているような、3年間の時限つきで、がれきの処理を単独目的にした焼却処理施設などを建設するのではなく、長期の地域雇用を生み出しながら、荒廃人工林の再生、農業や生活残さ処理にも役立つ地域密着型のバイオマスエネルギープラントを整備していくべきです。
以上