絞り込み検索

nacsj

新しい「エネルギー基本計画」策定に向けた意見の募集(パブコメ)に意見を出しました

2014.01.06
要望・声明

資源エネルギー庁長官官房総合政策課 
パブリックコメント担当御中

新しい「エネルギー基本計画」策定に向けたご意見の募集について

公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章

公益財団法人日本自然保護協会は、60余年にわたり日本の生物多様性保全のための活動を実施してきた。こうした見地から今回の「エネルギー基本計画に対する意見(案)」は、CO2削減による地球温暖化対策や生物多様性保全対策に資するとは考えられない。よって以下に意見を述べる。

1.原子力発電への依存は即刻停止するべきである。

「本基本計画への意見(案)」では、原子力発電を重要なベース電源として位置づけており、3.11の東日本大震災以降の脱原発を目指す圧倒的多数の国民の意見と明らかに逆行している。現在、すべての原子力発電所が停止している状況ではあるが、冬季の電力需給は決して逼迫した状況ではない。

3.11の事故処理も進んでおらず、原子力発電による核廃棄物の最終処分場の建設予定も決まっていない状況で稼働を続けることは、後世の世代に多くの禍根を残すことになる。また、複数のプレート境界に位置する我が国の基盤地形・地質条件では、安定した最終処分場の適地は存在せず、この観点でも原子力発電所は廃炉にむけた作業を加速させ、最終処分のための技術開発に予算及び人員を集中させるべきである。

なお、発電時にCO2を発生させないと記載されているが、稼働時の温排水により海水温度が上昇し、周辺海域の環境を著しく改変しているリスクについての記載が全くないことは生物多様性保全の観点から誤りである。

2.再生可能な自然エネルギーを基幹電源とするための社会構造の変革が必要である。

現在の大規模供給システムの中で、再生可能エネルギーを基幹電源とするならば、現状の自然環境の破壊を前提とした開発になる。大規模な風力や太陽光、地熱発電所の建設を進めることで、我が国の生物多様性を破壊することになれば本末転倒である。

自然エネルギーによる電力供給は不安定であり、この不安定性を補うためには地産地消型の小規模単位のエネルギー供給システムに転換し、リスクを分散する必要がある。この場合、現在の大規模送配電システムでは消失する電力が多く発生してしまい、その結果、不安定性を助長することが予測される。

したがって電力の小売りの自由化促進のみならず、発送電システムの小規模化をめざした構造改革が最優先の課題である。

以上

前のページに戻る

あなたの支援が必要です!

×

NACS-J(ナックスジェイ・日本自然保護協会)は、寄付に基づく支援により活動している団体です。

継続寄付

寄付をする
(今回のみ支援)

月々1000円のご支援で、自然保護に関する普及啓発を広げることができます。

寄付する