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大型猛禽類生息地保全に配慮し、国有林を利用したバイオマス発電のしくみを立案中です

2015.08.28
活動報告

林野庁関東森林管理局には、複数の外部専門委員と関係局署が施業案件ごとに現地視察をした上で施業計画や調査計画を修正したり、必要な保全対策を検討する「希少野生生物の保護と森林施業との調整に関する検討委員会」があります。NACS-Jは、この委員会の発足を起案し、当初から委員として参画しています。

7月6~7日に現地視察に参加しました。場所は群馬県の南西部、利根川水系烏川支流の神流川源流部に位置する、人口約1250人の上野村でした。

上野村は総面積の95%が森林。現在、民有林の木材・端材を自前のプラントで木質ペレットに加工し、農業ハウスの暖房などに利用しています。今年4月からはそのペレットを燃料にドイツから輸入した木質バイオマス発電(右写真)プラントで発電し、生み出した電力(180kw)と熱(270kw)をキノコ栽培ハウスの温度管理のエネルギー源にしています。

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この村内資源の循環利用の取り組みとして、村内森林の47%(約7400ha)を占める国有林のカラマツや小径木広葉樹の利用申請が出され、これを受けておおよそ8km四方の範囲内に数多くのバイオマス供用区を用意し、25年サイクルで端から利用していく計画案がつくられています。

このバイオマス供用区の選択に際し、源流部に生息する絶滅危惧種のクマタカとイヌワシの現在の生息環境を壊さないことはもちろんですが、施業を両種の餌動物とその狩場を増やすことにつなげられないかというのが検討のテーマでした。

林縁や小規模の抜開地は両種の良い狩場になりえます。繁殖しているのはクマタカだけでしたが、大径木の多い自然林が繁殖場所となっているのでその一帯の資源利用は行わず、広い行動圏の端や主要な飛行ルートの横に施業区を設けるなど、餌環境の向上につながる配置を検討することとしました。

うっぺいした人工林の利用がまったく進まないことが原因で地域の生物多様性が下がっていく問題は全国にみられることですが、地域エネルギーとしての利用は解決の優良な選択肢です。

国有林の木材を村に供用する地区

横山隆一(NACS-J参事)

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