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【配布資料】今日からはじめる自然観察「鳴く虫の聞き分けは意識のチューニング」

2011.09.01
解説

会報ページ画像

【今日からはじめる自然観察】鳴く虫の聞き分けは意識のチューニング(PDF/974KB)
【参考資料】秋によく鳴いている虫15種の詳細リスト(PDF/12KB)
<会報『自然保護』No.523(2011年9・10月号)より転載>
このページは、筆者に、教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可)。ダウンロードして、自然観察会などでご活用ください。

 
草むらから声が聞こえます。オスがメスに愛の歌を歌っているのです。

鳴くのは、たいていオスだけ。メスを呼んでいる声と、メスが近くに来たときの声とがまったく変わる虫もいます。

虫たちの声に耳をすましてみましょう。

大谷 剛(兵庫県立大学 自然・環境科学研究所/兵庫県立人と自然の博物館)


日本には450種ほどのバッタ目の昆虫がいます。そのうち、音を出すものは約350種。キリギリス類は129種(うち鳴き声不明47種)、コオロギ類は※110種(うち鳴かない・不明は34種)が知られており、多くが前翅をこすり合わせて鳴きます。日本のどの県でも、90~100種の鳴く虫に出合えますが、同じ地点で同時に鳴いているのは7~8種程度でしょう。

 

知っている声をひとつひとつ増やしていく

同時に8種の鳴く虫が鳴いているとします。最初、耳には「多数の虫が鳴いている」としか聞こえませんが、ひとつひとつ聞いたことのある音に意識を集中してチェックしていくと、8種を次々と確認することができます。私はこの方法を「意識のチューニング」と呼んでいます。ラジオの番組をダイヤルでチューニングしていくように、意識をその鳴く虫の音の高さに合わせていくのです。

初めて聞いた鳴き声で、どんな虫か推理するのは、初心者にはまず無理です。でも、ずっと鳴き続けています。気になります。では、姿を見てみましょう。懐中電灯をつけて、鳴き声を頼りに近づきます。すると、警戒して鳴きやみます。立ち止まって、鳴き始めるのを待ちます。これを根気よく繰り返すと、必ず鳴く虫が見えるところまで接近することができます。2人で違う角度から挟み込むように探すと、鳴いている方向が分かりやすくなります。

十分、近づいたら捕まえて、じっくり観察してみましょう。鳴く虫はどうやって自分の鳴き声を聞くのでしょうか? キリギリス類やコオロギ類の耳は前足にあります。穴のようなものが見えるでしょうか?

こうして1時間(いや2時間かな)かけて虫を探すと、その鳴く虫の声は耳の奥に深く刻まれ、もはや忘れることができなくなっています。その虫との次の出合いは鳴き声が勝手に耳に飛び込んでくる感じなので、ちょっとびっくりするはずです。

 

▼画像をクリックすると大きくなります
秋どこでどんな虫が鳴いている?(図解ページ)

523_kansatsu-3.jpg

写真協力 1,3,4,7,11,12,13:河井典子/2,14,15:八木 剛/5,6,8,10:高田 要/9:吉田滋弘


鳴き声当てクイズの答え
1:ヒガシキリギリス →「チョン、ギース」
2:スズムシ →「リリーン」「リー、リー」
3:エンマコオロギ →「ヒリヒリリリーリー」「ヒリヒリヒリリ」
4:カネタタキ →「チン、チン、チン」

 


※1段目1行目~3行目について、著者より訂正が入りました。

修正前:
↓↓↓
前翅をこすり合わせて鳴くキリギリス類が129種(うち鳴き声不明47種)、同じく前翅をこすり合わせるコオロギ類が99種(うち鳴かないのは17種)です。
修正後:
キリギリス類は129種(うち鳴き声不明47種)、コオロギ類は110種(うち鳴かない・不明は34種)が知られており、多くが前翅をこすり合わせて鳴きます。

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