2015年7月15日発表の「安全保障関連法案に対する自然保護の立場から反対する緊急声明」について
2015年7月15日発表の「安全保障関連法案に対する
自然保護の立場から反対する緊急声明」について
公益財団法人日本自然保護協会
理事長 亀山 章
公益財団法人日本自然保護協会は、去る7月15日に、「安全保障関連法案に対する自然保護の立場から反対する緊急声明」を発表しました。この声明について会員の皆様からご賛同やご質問、ご批判のご意見が寄せられました。私たちは、自然保護の立場から緊急声明を発表いたしましたので、その意図について補足いたします。
今回の安全保障関連法案の中の重要影響事態安全確保法では、「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」において、地理的制約も全くなく、さらに緊急の必要があると内閣総理大臣が判断した場合には事前の国会承認なしに後方支援が行えるとされています。この後方支援は、「兵站」(logistics)と同義であり、国際司法裁判所の判例では、戦闘行為と一体とみなされているものです(※1)。これについては、国会の議論の中ででも指摘されています。このことを重く見て私たちは、今回の安全保障関連法案は戦争につながる可能性をより大きくするものと考えました。
かつて本会会長の沼田眞は、「戦争はまさに自然保護の最大の敵であり、自然に配慮しながら戦争をするということはありえない」(自然保護,347号,pp4~5.1991年より引用・※2)と述べています。私たちは、このような危惧の念に基づいて声明を発表したものです。
※1)国際司法裁判所「ニカラグアに対する軍事的活動事件」判決(外部リンクPDF・16MB)