ヤナセ天然スギを守るため、伐採の休止が決まりました。
3月18日四国森林管理局において第3回ヤナセ天然スギの今後の取り扱いに関する検討委員会に出席しました。これで今年度の検討委員会は終了で、伐採・供給の方針が決まりました。以下が方針です。
1)希少なヤナセ天然スギの資源を維持し保全していくため、継続的計画的な伐採及び供給は平成30年度から休止する。備蓄林として扱い不定期に発生する神社仏閣の修繕など公共性の高い特殊な需要だけに対応。被害木や衰退木などの有効活用。
2)人工林スギの大径木については130年生以上だけでなく80年生以上についても供給。高齢級人工林は、代替する優良材として位置づけ、ブランド化や需要の創出等民有林と連携して取り組む。
3)林野庁で保護林制度の見直し検討がおこなわれているので調査研究、モニタリング調査など関係機関と連携してヤナセ天然スギの施業上取り扱いの検討を行う。
4)ヤナセ天然スギの供給については、現行供給計画は新たな伐採供給方針の決定に伴い廃止する。
1月21日~2月10日に意見募集が行われ10件の意見が寄せられましたが、うち7件は継続的な供給を求めるものでした。ただそもそも意見が少ないこと、成熟したヤナセ天然スギは活用すべきであること、技術の継承重要性、ブランドの維持、災害防止、供給をゼロにしないことの重要などから継続を求めるものでした。NACS-Jは即刻中止とのコメントを出しました。
委員会では天然スギがすでにほとんど枯渇していること、分布が限られていることは個体群維持にとってリスクが高いこと、大径木が存在することでの生物多様性保全上の重要性、遺伝資源の保存、守ることがブランド価値になることなどを意見に出しました。
いったん伐採供給は廃止との結論になりましたが、引き続き来年度の以降の検討に期待されます。
▲文化財資源備蓄林(約100年生)の林相、本来は神社など伝統建築のために備蓄された人工林。ここをヤナセスギの代わりに持続的に活用できないか検討している。
(保護・研究部 朱宮丈晴)