東アジアのNGOで、海洋保全の緊急行動を求める共同声明を発出しました
日本自然保護協会は、2024年11月に韓国の済州島で開催された「日中韓海洋保全フォーラム」に参加し、東アジア各国と課題を共有すると共に、昆明・モントリオール生物多様性枠組の世界目標達成に向け、参加団体等で連名署名した海洋保全の緊急行動を求める共同声明を発出しました。
- 気候変動の影響緩和に向けた海洋保全に関する緊急行動を求める共同声明(英原文) (PDF/129KB)
- 気候変動の影響緩和に向けた海洋保全に関する緊急行動を求める共同声明(和訳) (PDF/240KB)
気候変動の影響緩和に向けた海洋保全に関する緊急行動を求める共同声明
気候危機は海洋生物多様性への脅威を強め、人類と地球の健康に不可欠な海洋生態系の劣化を加速させている。しかし、その緊急性にもかかわらず、海洋環境を保護するための現在の政府の取り組みは依然として不十分である。海洋の危機的状況を認識し、私たち日本、韓国を含むアジアの市民社会および環境団体は、共同で各国政府に対し、断固とした協調行動をとるよう要請する。
生物多様性条約(CBD)に基づき2022年に採択された昆明・モントリオール生物多様性世界枠組(KM-GBF)には、2030年までに陸域と海域の30%を保護するという目標が盛り込まれている。私たちは各国政府に対し、この目標を達成するための早急な措置を講じるよう求める。
さらに、私たちは、最近採択された「国家管轄権外区域の海洋生物多様性に関する協定(BBNJ)」を、公海における生物多様性保全のための歴史的な進歩と認識している。私たちは、各国政府に対し、BBNJ協定を遅滞なく批准し、公海における海洋保護区(MPAs)の設置に協力することで、世界的な「30 by 30」目標を前進させることを求める。
このコミットメントは、生物多様性を保護し、人類のウェルビーイングに不可欠な海洋生態系の回復力を強化するために極めて重要である。南大洋が世界の海洋の約10%を占めることを考慮し、私たちは南極大陸周辺の南大洋におけるMPAsの拡大が緊急に必要であることを強調する。膨大な種類の海洋生物を育み、比類なき南大洋の生態系は、世界の生物多様性と気候調節にとって不可欠である。私たちは各国政府に対し、気候変動の影響や漁業・資源採掘などの人間活動からこうした脆弱な生息地を保護するため、南大洋におけるMPAsの追加指定を積極的に支援し、提唱するよう呼びかける。
私たちは共に、各国政府に対し以下の行動をとるよう求める。
- 海洋保護区(MPAs)の拡大:世界目標「30 by 30」を達成するため、MPAsを設置し、効果的に管理し、2030年までに大規模なMPAsを含む海洋・沿岸地域の少なくとも30%を確実に保護すること。
- 海洋保全のための地域協力を強化する:私たちが共有する海洋生態系を保護するため、科学、政治、市民社会の分野を超えた協調的な取り組みを通じて、アジア諸国の間で協力を強化することを求める。
- 迅速にBBNJ協定を批准・実施する:公海は世界の海洋の3分の2を占め、海域の30%をMPAsにするという目標を達成する上で極めて重要である。私たちの政府は、MPAs指定プロセスを主導し、公海の生物多様性保全を確実なものとする科学的調査と管理計画に責任のある関与をすべきである。
- 南大洋の海洋保護区の拡大を支持する:世界の生物多様性と気候変動の影響緩和において重要な役割を果たす、南大洋の特有かつ脆弱な生態系を保護するため、南大洋の重要地域の保護を提唱する。
「30by30」目標は、BBNJ協定や南極海保護区の拡大と相まって、海洋保全を推進し、気候変動が海洋に与える影響を緩和するための、かつてない機会を提供するものである。この使命のもとに団結する市民社会および環境団体として、私たちは各国政府に対し、海洋生物多様性の保護し、次世代に引き継がれる海洋生態系の持続可能な未来を確保するために主導することを求める。
署名団体
全南朝鮮環境運動連合
市民環境研究所
市民海洋科学研究チーム
気候海洋研究所
エコ・ホライズン・インスティチュート
エンバイロンメンタル・ジャスティス・ファウンデーション
国際環境NGO FoE Japan
グリーンピース・東アジア
グリーン・コリア・ユナイテッド
ハイ・シーズ・アライアンス
ホット・ピンク・ドルフィンズ
仁川韓国環境運動連合
済州エコツーリズム協会
済州韓国環境運動連合
韓国環境運動連合
マリン・アニマル・リサーチ&コンサベーション
パラン市民海洋科学センター
シー・シェパード韓国
(公財)日本自然保護協会
2025年1月31日