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普天間飛行場代替施設建設事業に伴う奄美大島からの土砂の移動に対する意見を提出しました

2024.05.01
要望・声明

米軍普天間飛行場の辺野古移設に用いる埋め立て工事において、防衛省が奄美大島で採掘する土砂の使用を検討し、外来種対策として洗浄することで搬入可能であると判断しているということが報じられています。日本自然保護協会(NACS-J)は、これに対する問題点を指摘し、防衛大臣と沖縄防衛局に外来種除去に関して有効な対策を取ることとステークホルダーの合意を得ることを求めました。


22024年4月30日

防衛大臣   木原 稔  様
沖縄防衛局長 伊藤 晋哉 様

普天間飛行場代替施設建設事業に伴う奄美大島からの土砂の移動に対する意見

公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章

日本自然保護協会は、琉球諸島の生物多様性の豊かさに注目し、1990年代から世界自然遺産登録を働きかけ、沖縄島と奄美大島において、サンゴ礁や海草藻場などの各種生物の現地調査を行い、その保全を訴えてきた。その立場から意見を述べる。

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、防衛省が奄美大島で採掘した土砂の使用を検討しており、外来種対策としては、土砂を洗浄することで搬入可能であると判断していると報じられている(毎日新聞、2024年4月19日)。
埋め立て土砂については、2015年に沖縄県により土砂搬入規制条例(公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例)が、埋め立て土砂に伴う外来種の混入を防ぐことを目的として制定されている。2016年9月に行われたIUCN(国際自然保護連合)第6回世界自然保護会議では、世界自然遺産登録予定地(当時)の島嶼間の土砂の移動に伴う外来種の非意図的導入への対策を日米両政府に求める勧告が出されている。沖縄県には1,200種を超える外来種がすでに定着しており,農作物や野生生物に影響を及ぼしていることから、被害の拡大を防ぐ必要がある。

さらには防衛省自身が、シュワブ(H27)水域生物等調査報告書において「植物および動物の特定外来生物を死滅させるためには高熱処理が有効」とし、「200度で20分、300度で1分の処理が必要」とし、洗浄では不十分であるという専門家の意見の存在を認めている。
また土砂の調達先と報じられている奄美群島の一部の市町村では、住民の合意が取れていない(例:瀬戸内町自然保護審議会、瀬戸内町振興開発審議会)など、合意形成の問題もある。IUCNの勧告には市民、行政、専門家など生物多様性保全に係るステークホルダーが関与することの重要性が指摘されている。

上記のことから防衛省及び沖縄防衛局に以下を求める。

  1. 埋め立て土砂の搬入に際しては外来種除去に関して有効な対策を取ること。
  2. 埋め立て土砂の搬出側および搬入側のそれぞれのステークホルダーの合意を得ること。

参考:

日本自然保護協会(2016)アメリカ初のIUCN世界自然保護会議に向け、 島嶼の自然を外来種から守る勧告を提案。
https://what-we-do.nacsj.or.jp/2016/08/624/

採石場所の画像

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