絞り込み検索

nacsj

(仮称)徳島鳴門風力発電事業 環境影響評価方法書に関する意見を提出しました

2024.05.07
要望・声明

日本自然保護協会(NACS-J)は、「(仮称)徳島鳴門風力発電事業」について、絶滅危惧種のコウノトリ、サシバほか渡り鳥のバードストライクが懸念されるほか、計画地のほぼ全域が県立公園となっており、国が進める自然保護地域の拡張(30by30)と逆行していることから、環境影響評価方法書に対する意見を出しました。


2024年4月30日

東急不動産株式会社 御中

(仮称)徳島鳴門風力発電事業 環境影響評価方法書に関する意見書

〒104-0033 東京都中央区新川1-16-10 ミトヨビル2F
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章

日本自然保護協会は、自然環境と生物多様性の保全の観点から、徳島県鳴門市で計画されている(仮称)徳島鳴門風力発電事業(事業者:東急不動産株式会社、最大38,700kW、基数:最大9基)の環境影響評価方法書(作成委託事業者:日本気象協会)に関する意見を述べる。
再生可能エネルギーの推進は、地球温暖化を抑制し生態系保全につながることから、当協会は早急に進める必要があると考えている。しかし、一方では、再生可能エネルギー事業を進めるにあたっては、自然環境に配慮した立地・計画が必須である。しかし、本事業は不可逆的な自然環境上の問題が生じる可能性があり、中止を前提とした計画の再考を行うべきである。以下に、その理由を述べる。

1.サシバなど猛禽類の渡りのルート上に計画すべきではない

鳴門海峡はハチクマ、ノスリ、サシバなど多数の猛禽類の、夏季の繁殖地と冬季滞在地との渡りの主要ルートとなっている。日本野鳥の会徳島県支部の調査によると、本事業予定地から約10kmの鳴門山では、毎年春季秋季合計で5,000羽を超える猛禽類の渡りが継続して観察されている。本事業予定地は、鳴門海峡の四国側最前面の山塊であるため、猛禽類が高度上昇を行う場所であると推測され、風力発電機によるバードストライクの強い懸念がある。

環境省レッドリストで絶滅危惧ⅠB類に指定されているサシバは、日本の各地で生態系の指標種として重要な猛禽類である。そのため、サシバがバードストライクに遭遇することは、風力発電機設置場所周辺だけでなく、海外も含めた広域にわたって生態系に大きな影響をもたらすことになる。
このような広域の生態系へ影響を及ぼすような場所での事業実施は、国際的にも深刻な問題となることから事業は実施すべきではない。

2.鳴門市大麻町のコウノトリへの影響が懸念される

鳴門市大麻町では、2015年2月頃に環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠA類のコウノトリが飛来しており、現在も四国唯一の生息地である。2017年には兵庫県豊岡盆地周辺以外では初めて巣立ちが確認されており、現在は本州からの飛来も含めて増加傾向にある。本事業予定地にはコウノトリの生息地である水田や湿地はなく、そこからの距離も約6kmと離れている。しかし、本事業予定地が生息地と本州との間に位置することから偶発的な飛翔は否定できない距離であり、バードストライクの影響が懸念される。

3.計画地のほぼ全域が県立公園

本事業予定地はほぼ全域が大麻山県立公園である。2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする30by30がネイチャーポジティブ実現のための世界的目標となっている。現在、日本の陸域の保護地域は約20.5%であり、残りの約9.5%の面積を増やすために保護地域の拡張やOECMの推進が図られている。県立公園は既に保護地域となっており、このような場所で大規模な開発を行うことは、ネイチャーポジティブと逆行するものであることから、当該計画はすべきものではない。

以上

鳴門風力発電事業予定地を指示した地図データ地図データ(国土地理院衛星写真、EADAS)を基に日本自然保護協会が作図

前のページに戻る

あなたの支援が必要です!

×

NACS-J(ナックスジェイ・日本自然保護協会)は、寄付に基づく支援により活動している団体です。

継続寄付

寄付をする
(今回のみ支援)

月々1000円のご支援で、自然保護に関する普及啓発を広げることができます。

寄付する