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2025年日本国際博覧会の会場予定地である夢洲の自然環境の保全について意見を出しました

2021.11.26
要望・声明

2025年日本国際博覧会(略称:大阪・関西万博)の会場予定地で、現在、埋め立て工事が進められている夢洲(ゆめしま)は、人工島であるもののコアジサシやホシハジロなどの絶滅危惧種が多く生息する地域です。
日本自然保護協会は、夢洲をラムサール条約に登録することを提言し、事業の見直しと自然と共存する道を探ることを要望する意見書を博覧会協会、大阪府、大阪市に提出しました。

2025年日本国際博覧会の会場予定地である夢洲の自然環境の保全について(PDF/236KB)


2021年11月26日

公益社団法人2025年日本国際博覧会協会
会長      十倉 雅和 様
大阪府知事   吉村 洋文 様
大阪市長    松井 一郎 様

公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章

2025年日本国際博覧会の会場予定地である夢洲の自然環境の保全について

私たちはわが国の自然保護と生物多様性の保全に関わる団体として、夢洲(ゆめしま)の自然環境の保全について意見を申し上げます。
夢洲では、現在、2025年日本国際博覧会(以下、本国際博)の事業に向けて埋立て工事がすすめられており、同時に環境影響評価の手続きがすすめられています。

本国際博の会場予定地である夢洲は、人工島ではあるものの「大阪府レッドリスト 2014」(大阪府環境農林水産部、平成 26 年)によって絶滅危惧種に指定されている種が多く生息し、「大阪の生物多様性ホットスポット- 多様な生き物たちに会える場所 -」(大阪府環境農林水産部、平成 28 年)では、近隣の南港野鳥園とともに、種の多様性が高い地域として生物多様性ホットスポットの Aランクに評価されています。夢洲は淀川の河口に位置しており、淀川汽水域も同様に Aランクに指定されています。また、夢洲や南港野鳥園の周辺には、貴重な生態系として、干潟・河川汽水域と、代替裸地・草地(埋立地)があり、貴重な生物として、水鳥のコアジサシ(環境省絶滅危惧Ⅱ類・VU)やシロチドリ(環境省絶滅危惧Ⅱ類・VU)等、猛禽類のチュウヒ(環境省絶滅危惧ⅠB類・EN)やハイイロチュウヒ等が生息している記録があります。

また、公益社団法人大阪自然環境保全協会の調査によれば、コアジサシとセイタカシギ(環境省絶滅危惧Ⅱ類・VU)ほかの繁殖、ホシハジロ(国際自然保護連合(IUCN)絶滅危惧Ⅱ類・VU)、ツクシガモ(環境省絶滅危惧Ⅱ類・VU)などが確認されています。コアジサシについては、2021年6月に大阪港湾局長が、集団で産卵する場所について繁殖時期の会場整備の土地造成工事を一時中止しています。植物では、塩性湿地に生育するウラギク(環境省準絶滅危惧・NT)や大阪府では絶滅したとされるカワツルモ(大阪府レッドリスト絶滅・EX)が確認されています。

本国際博の開催目的は、「2025大阪・関西万博がめざすもの」では「持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献」とされ、テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」となっています。基本計画5つの特徴の第1は「海と空を感じられる会場」となっています。これらは、どれも夢洲の鳥類を代表とする野生生物の保護を前提としなければ成り立たないものといえます。
本国際博の開催によるレガシーとして、夢洲をラムサール条約の登録湿地にすることを提言します。ホシハジロは2020年度に約5,000羽の飛来が確認されており、登録湿地の基準を満たしています。東京2020大会(オリンピック・パラリンピック)では、競技会場と選手村が集まる東京湾の埋め立て地の都立葛西海浜公園の浅海域を2018年にラムサール条約の登録湿地にしています。世界から集まる方たちに、国際的な保護区に接して大会が催されることをアピールしたものです。
しかし、本国際博の環境影響評価手続きによる準備書に記載されている予測評価と環境保全は、特に陸域・海域とも野生生物を十分に考慮されたものではないため、より詳細の調査を行い、事業を見直すべきです。
今後は、地域の自然保護団体をはじめとする様々なセクターとの対話をすすめ、未来に向けて、夢洲の貴重な自然と共存する道を探っていただくようお願いいたします。

以上

 

参考情報:
公益社団法人大阪自然環境保全協会(ネイチャーおおさか)
夢洲の未来の自然環境のために
http://www.nature.or.jp/action/yumeshimamirai/

ホシハジロが休息する夢洲の写真 5,000羽近くのホシハジロが休息する夢洲(写真:大阪自然環境保全協会)

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