沖縄県による制度での辺野古・大浦湾の保全を求める要望書を沖縄県知事へ手渡してきました
3月24日に、日本自然保護協会は、沖縄県として県による保護の制度を適用して辺野古・大浦湾の自然を守ることを玉城デニー知事に直接お願いし、要望書と署名を手渡してきました。
辺野古・大浦湾は、昨年10月に日本初のホープスポット(Hope Spot:希望の海)に認定され、これを受けて呼びかけた応援署名には、24,235名もの国内外の方が署名を寄せてくださいました。
沖縄県による自然を守る制度の設置を求める要望書(県知事宛)(PDF/147KB)
2020年3月24日
沖縄県知事 玉城デニー様
じゅごんの里 代表 東恩納琢磨
ジュゴン保護キャンペーンセンター 代表 海勢頭 豊
北限のジュゴン調査チーム・ザン 代表 鈴木 雅子
ジュゴンネットワーク沖縄 事務局長 細川 太郎
ヘリ基地いらない二見以北十区の会 代表 浦島悦子、渡久地千賀子
ヘリ基地反対協議会 代表 安次富浩
ダイビングチーム・レインボー 代表 牧志 治
海の生き物を守る会 代表 向井 宏
沖縄環境ネットワーク 代表 桜井国俊
ラムサール・ネットワーク日本
共同代表 上野山雅子・金井 裕・陣内隆之・高橋 久・永井光弘
公益財団法人 日本自然保護協会 理事長 亀山 章
辺野古・大浦湾についてホープスポット認定を受けて沖縄県による自然を守る制度の設置を求める要望書
私たちは日本の生物多様性豊かな自然環境の保全に長期にわたり取り組んできました。2019年10月に、米国NGOミッションブルーにより辺野古・大浦湾一帯がホープスポット(Hope Spot:希望の海)に認定されました。対象の範囲は、辺野古・大浦湾を中心にした天仁屋から松田までの44.5平方キロメートルの海域です。この認定により、辺野古・大浦湾の生物多様性やそれを育む地形の豊かさが改めて世界的に認められました。
2018年3月24日に沖縄県と日本自然保護協会の共催で実施した「沖縄の財産・世界の宝~辺野古・大浦湾シンポジウム」では、国際自然保護連合(IUCN)のフランソワ・シマール博士から進行中の工事の影響を緩和するために新しい海洋保護区を設定すること、その上で地域の住民がエコツアーなど持続可能な形で自然を活かした活動をすることが提案されました。
自然破壊が進む辺野古・大浦湾では、工事実施区域の影響が周囲に及ばないよう保護を強化しておくことが必要であり、工事実施区域内で日本政府が自然破壊を止めない現状では、沖縄県の宝である辺野古・大浦湾を守るために、沖縄県によるいっそうの努力が必要です。
2016年以降、気候変動の影響で、サンゴの白化が広範囲に生じ、大浦湾一帯のサンゴ群集は大きな影響を受けました。また今年2月に行われた日本自然保護協会等による調査により、水質の悪化が示唆されるテルピオスカイメンやシアノバクテリアの増加が記録されました(琉球新報 2020年2月25日)。この海域では、大規模な工事が進み気候変動も激しくなるなか、いつまでも健全な状態を保てる保証はありません。
沖縄県の権限でかけられる保護の制度として、沖縄県文化財保護条例の天然記念物、ラムサール条約登録を見据えた鳥獣保護法の禁止区域の指定などがあります。チリビシのアオサンゴ群集や長島の洞窟など学術的に重要な対象については天然記念物の指定が適切であり、ラムサール条約潜在候補地である大浦川河口については同条約登録に向けた制度の適用が可能です。チリビシのアオサンゴ群集などの重要な場所については、保護制度の適用と同時にエコツアー事業者の環境保全利用協定の認定などで持続可能な利用を進めていくことも大切です。
本要望については、24,235名の市民が、沖縄県が大きな一歩を踏み出すことを望み、署名を寄せてくれました(インターネット19,626名、紙媒体4,609名)
私たちは沖縄県が保護の制度を適用し、チリビシのアオサンゴ群集、長島の洞窟、大浦川河口などの貴重な場所を工事の影響等から守っていただき、ホープスポットに認定された貴重な海を次世代に渡せるようにしていただくことを要望します。
以上
参考:2018年3月24日「沖縄の財産・世界の宝~辺野古・大浦湾シンポジウム」講演要旨集
https://www.nacsj.or.jp/2018/05/9950/