奄美群島国立公園の公園区域及び公園計画の変更(一部変更)に関する意見書を提出しました
奄美群島は、日本のなかでも豊かで固有性の高い生物多様性がみられる地域で、奄美群島国立公園は、その重要な保護地域です。
世界自然遺産の登録を目指して、重要な場所を新たに国立公園に編入したり、地種区分のランクアップなどの変更計画に対して、日本自然保護協会は意見を提出しました。
奄美群島国立公園の公園区域及び公園計画の変更(一部変更)に関する意見(PDF/102KB)
(ご参考)やんばる国立公園の公園区域及び公園計画の変更(一部変更)に関する意見
2019年11月28日
公益財団法人日本自然保護協会
理事長 亀山 章
奄美群島国立公園の公園区域及び公園計画の変更(一部変更)に関する意見
日本自然保護協会は、奄美群島の生物多様性豊かな自然環境の保全に取り組んでいる立場から、以下の意見を述べます。
1)公園区域の拡張、保護規制計画の変更は適切と考えます
奄美大島の生物多様性保全にとって核心的な場所を、公園区域に編入すること、ならびに保護規制計画を自然の重要度に見合う地種区分に変更することは、生物多様性保全にとって必要であり、適切な変更と考えます。
2)年間利用者数の増加への対応が必要です
世界自然遺産登録前にもかかわらず、平成27年には 560,432人だった奄美群島を訪れる入域客が平成30年には885,411人に急増しています。利用ルールの運用が始まった金作原以外についても、多くの観光客が訪れる場所を予想して、動線を計画すること、厳重に保護するべき対象が守られる対策を取ること、人や物の移動に伴い増加する新たな外来種の移入への有効な対策を取ることを加える必要があると考えます。
3)国立公園から削除された場所について
「住宅地や別荘地として利用されている区域であり、風致及び土地利用の実態の観点から、区域線の明確化を図る必要があるため、当該区域を本国立公園から削除する」とされている場所が複数あります。現場の実態に見合う対応と理解できる一方で、指定当時は自然公園にふさわしい環境として指定されたのであれば、現状の行為規制では土地利用の改変に十分な歯止めになっていないことを示すと考えられ、行為規制の見直しや、保護すべき場所については、より一層の地種区分の見直しを進めていただきたいと考えます。
4)海域公園地区の将来的な拡大を進めてください
今回の変更は生態系の連続性を重視したもので必要な変更と考えます。一方、奄美群島は、海域にも重要な自然環境があり、自然と共生してきたくらしの伝統文化には海も大きな役割を担っています。現在、海域のほとんどは普通地域(31,958ha)で、海域公園地区(1,124ha)はごく一部です。環境文化型の国立公園として、陸と海の連続するエコトーンを持続可能に利用していけるように、将来的に海域公園地区の拡大を進めてください。
以上
【関連資料】
2019年11月12日 奄美群島国立公園の公園区域及び公園計画の変更(一部変更)に関する意見の募集(パブリックコメント)について(お知らせ)
http://kyushu.env.go.jp/okinawa/pre_2019/post_90.html