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【沖縄・辺野古】軟弱地盤に関わる設計変更に関して 辺野古の埋め立て工事の即時中断を求める意見書を提出

2019.01.25
要望・声明

かねてから軟弱地盤の存在が指摘されていた辺野古の埋め立て工事について、日本政府は設計変更を申請する方針と報道されました。新たに採用が予測される工法は、埋め立て予定地だけでなく広く周辺のサンゴや海草・藻類、貝類、海棲生物等の生息環境に大きな変化が及ぶことが想定されます。

軟弱地盤の存在で前提条件が変わったならば、環境影響評価をやり直し、自然環境への影響を最大限回避する方法を検討することが先決であるため、日本自然保護協会は、設計変更の中止と現在進行中の工事の即時中断を求める意見書を提出しました。


2019年1月24日

内閣総理大臣    安倍 晋三 様
内閣官房長官    菅  義偉 様
国土交通大臣    石井 啓一 様
防衛大臣      岩屋  毅 様
環境大臣      原田 義昭 様
沖縄・北方担当大臣 宮腰 光寛 様
沖縄防衛局長    田中 利則 様

 

軟弱地盤に関わる設計変更に関して
辺野古の埋め立て工事の即時中断を求める意見書

 

公益財団法人日本自然保護協会
理事長 亀山 章

かねてより軟弱地盤の存在が指摘されていた普天間飛行場代替施設建設事業の埋め立て予定海域内の地盤改良工事について、日本政府が設計変更を沖縄県に申請するとの報道がなされた。同時に、昨年12月から土砂投入を続けている場所に隣接する新たな区域で、3月25日から土砂投入を始めると県に通知した。
こうした状況に対し、公益財団法人日本自然保護協会は以下の理由により埋め立て工事の即時中止を求める。

埋め立て予定海域では、極端に強度の弱い地盤の存在がかねてから指摘されてきた。これに対し沖縄防衛局は、調査中を理由に設計の変更はない考えであったこと、また、今回の設計変更により新たに採用すると予測される工法は、多くの杭を軟弱地盤に打ち込み、杭の中を鉄鋼スラグや砂で充填し固める、サンドコンパクションパイル工法であることが報道されている。

この工法は、杭打ちに伴う騒音振動、周辺海域のpH値の変化や、多数の杭打ち込みによる地下水脈の寸断による海底湧出水の変化により、埋め立て予定地だけでなく広く周辺のサンゴや海草・藻類、貝類、海棲生物等の生息環境に大きな変化が及ぶことが想定される。環境影響評価で予測されていた環境への影響とは大きく異なる可能性がある。
軟弱地盤の存在が明らかになり前提条件が変わったのであれば、環境影響評価をやり直し、自然環境への影響を最大限回避する方法を検討したうえで設計の変更がなされるべきである。

また、埋め立て免許の申請前に行われた環境影響評価は、日本自然保護協会(2012、2013)や日本生態学会等(2014)が指摘してきたように科学性に問題があり、アメリカの海洋哺乳類学者トーマス・ジェファーソン氏も米ジュゴン訴訟におけるやり取りで「アセスは非常に不十分で科学的検証に耐えられるものではない」と意見を述べるほどの問題のある内容であった。
昨年9月から10月の同事業の中止期間に日本自然保護協会が実施した調査では、海草藻場やサンゴ類はまだ豊かであるものの、海草の種類の減少の可能性や地形と生態系の変化などすでに工事の影響が及んでいることも確認している(日本自然保護協会,2018)。

辺野古・大浦湾の貴重な自然環境および生物多様性への影響を最大限回避するため、実施中の工事を即時に中断し、工法変更に伴う環境影響評価を科学的に実施することが先決である。
以上のことから、日本自然保護協会は軟弱地盤での設計変更を中止し、現在進行している工事も即時中断することを求める。

以上

 

日本自然保護協会(2013)「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書(補正後)」への意見
https://www.nacsj.or.jp/archive/2013/02/453/

日本自然保護協会ほか(2012)「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価に関する有識者研究会 最終報告~ 評価書の補正に係る提言 ~」に対する意見
https://www.nacsj.or.jp/archive/2012/12/450/

日本自然保護協会(2012)「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書」への意見
https://www.nacsj.or.jp/archive/2012/02/420/

日本生態学会等(2014)著しく高い生物多様性を擁する沖縄県大浦湾の環境保全を求める19学会合同要望
http://www.fish-isj.jp/iin/nature/teian/141111.html

日本自然保護協会(2018)沖縄島辺野古における海草藻場モニタリング調査
ジャングサウオッチ・レポート2018
https://www.nacsj.or.jp/2018/11/13590/

沖縄タイムス(2108)「ほとんど価値ない」 辺野古アセスを疑問視 米国防総省の専門家チーム
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/239197

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