【沖縄・辺野古】土砂投入に対し強く抗議をします
沖縄島辺野古のサンゴ礁の海に、本日12月14日、土砂が投入されました。
日本政府による、米軍普天間飛行場代替施設建設事業工事に伴うものです。辺野古には沖縄島で最大規模の海草藻場があり、土砂投入はこの海域の自然に不可逆的な影響を与えます。日本自然保護協会は、環境保全措置が整っていないまま土砂投入を強行した日本政府に対し強く抗議します。
20181214_日本政府による米軍普天間飛行場代替施設建設事業における土砂投入に対する抗議(PDF/121KB)
2018年12月14日
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
内閣官房長官 菅 義偉 様
国土交通大臣 石井 啓一 様
防衛大臣 岩屋 毅 様
環境大臣 原田 義昭 様
沖縄・北方担当大臣 宮腰 光寛 様
沖縄防衛局長 中嶋浩一郎 様
日本政府による米軍普天間飛行場代替施設建設事業における土砂投入に対する抗議
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章
日本政府は米軍普天間飛行場代替施設建設事業(以下、「同事業」)に伴う名護市辺野古沿岸部への土砂投入を14日に開始した。沖縄島周辺で最大の規模である海草藻場に土砂投入することは、この海域の自然に不可逆的な影響を与えるものである。日本自然保護協会は、生物多様性豊かな自然環境を守る活動に取り組む立場から、生物多様性豊かな自然環境を有する場所において工事を進めることに対し強く抗議する。
日本自然保護協会(2013)や日本生態学会等(2014)が指摘してきたように本事業における環境影響評価は科学性に問題があり、アメリカの海洋哺乳類学者トーマス・ジェファーソン氏も米ジュゴン訴訟におけるやり取りで「アセスは非常に不十分で科学的検証に耐えられるものではない」と意見を述べている。
私たちは、2014年以降、ジュゴン個体Cの行動が変化したことやコンクリートブロックの投入などで環境への影響がすでに生じていることを指摘してきた。最近になりジュゴンの個体Aも行方不明になっていることがわかっている。また、本年9月から10月の同事業の中止期間に日本自然保護協会が実施した調査において、海草藻場やサンゴ類はまだ豊かであるものの、海草の種類の減少や地形と生態系の変化などすでに工事の影響が及んでいることも確認されている。
8月31日に沖縄県が公有水面埋立承認を撤回した際の根拠である、政府の環境保全措置の不備は改善が見られていないうえに、今回の土砂投入について沖縄県は岩礁破砕許可に違反するとの認識である。
今年は国際サンゴ礁年であり、世界的にサンゴ礁保護への取り組みが強化されている。また10月21日から29日までアラブ首長国連邦の首都ドバイで開催されたラムサール条約第13回締約国会議において、海草藻場の大切さとウミガメの産卵地の保全に関する決議が採択され、世界的にその大切さが再認識され保全に向けて努力することが合意されたばかりである。工事再開は世界的な生物多様性保全の流れに逆行するものであり、ただちに工事を中止すべきである。
以上
▲ 辺野古・大浦湾の航空写真。水色の部分がサンゴ礁の浅場、深い青色が深場です。