普天間飛行場代替施設建設事業に伴う臨時制限区域への立ち入り許可申請を提出しました
日本自然保護協会は、米海兵隊太平洋基地司令官、ポール・ロック准将に臨時制限区域内に生息するコモチハナガササンゴ(*ページ最下部に動画があります)群集の調査を求め、区域内の立ち入りを申請しました。
臨時制限区域の中に含まれる場所には多くの貴重な生物が棲息しており、その1つが水深29mに生息しているコモチハナガササンゴ(Goniopora stokesi)の群集です。珍しい生活史を持つことが知られています。
私たちは、同海域をよく知りコモチハナガササンゴ群集の撮影記録のある西平伸氏(ダイビングチーム・スナックすなふきん代表)、長くこの海域の潜水調査を行っている牧志治氏(ダイビングチーム・レインボー)の2名と、2名が率いるチームメンバーとともに、埋立予定地に入り、コモチハナガササンゴ群集の調査を行うことを計画しています。
20180419_普天間飛行場代替施設建設事業に伴う臨時制限区域への立ち入り許可のお願い(PDF/252KB)
2018年4月19日
米海兵隊太平洋基地司令官
ポール・ロック准将 様
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章
普天間飛行場代替施設建設事業に伴う臨時制限区域への立ち入り許可のお願い
沖縄県名護市辺野古・大浦湾は生物多様性が豊かな海域です。現在、この海域では普天間飛行場代替施設建設事業に伴い、臨時制限区域が設定されています。この区域の中に含まれる場所には多くの貴重な生物が棲息しています。
その1つが水深29mに生息しているコモチハナガササンゴ(Goniopora stokesi)の群集です。このサンゴはイシサンゴにしては珍しく岩に固着せず、泥の上で生活し、群体が分裂することで泥場への生活を可能にしている生活史をもつことが記録されています(Kitano et al 2013)。
沖縄防衛局が事業に伴う環境保全措置として移植の対象とするサンゴ類は水深20m以浅に分布しているものだけであり、コモチハナガササンゴは対象外となります。埋立て工事が始まる前に調査を行うことは、サンゴ礁保全を考えるうえで大変重要であり、事業者が予定している環境保全措置の内容を実態に応じて変更することが必要です。
在日米軍にも認識いただいていますよう(Marine Corps Base Camp 2014など)日本自然保護協会はこの海域で長くサンゴ礁生態系の調査を実施してきました。私たちは、同海域をよく知りコモチハナガササンゴ群集の撮影記録のある西平伸氏(ダイビングチーム・スナックすなふきん代表)、長くこの海域の潜水調査を行っている牧志治氏(ダイビングチーム・レインボー)の2名と、2名が率いるチームメンバーとともに、埋立予定地に入り、コモチハナガササンゴ群集の調査を行うことを計画しています。
以上のことから、日米両政府が定めた普天間飛行場代替施設建設事業に伴う臨時制限区域への立ち入りの許可を受けたく、次のとおり申請します。
調査予定位置
調査予定位置を大まかに示す。現場にてコモチハナガササンゴ群集の位置を最初に特定する。
<参考>
- 日本自然保護協会(2014)記者会見資料
- Kitano et al., 2013. Phylogenetic and taxonomic status of the coral Goniopora stokesi and related species (Scleractinia: Poritidae) in Japan based on molecular and morphological data Zoological Studies, 52: 25.
- Marine Corps Base Camp Smedley D.Butler MCIPAC Installations (2014)
Integrated Natural Resources and Cultural Resources Management Plan
参考動画:コモチハナガササンゴの動画を、ダイビングチームの「スナックすなふきん」が撮影・公開しています。あのアオサンゴも出てきます。美しい海の様子とあわせてご覧ください。
<大浦湾100番勝負!その41.秘密の花園(1)コモチハナガササンゴの大群集>