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奄美大島での防衛省通信所建設計画の撤回を求める意見書を出しました

2017.12.22
要望・声明

2017年12月22日

防衛大臣 小野寺 五典 殿

公益財団法人日本自然保護協会
理事長 亀山 章

奄美大島における防衛省通信所建設計画の撤回を求める

奄美大島は生物多様性豊かな島嶼であり、日本自然保護協会は世界自然遺産への登録を長く求めてきた。本年2月1日に、日本政府は奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島世界自然遺産推薦地について推薦書を提出し、現在その審査が行われているところである。
奄美大島の湯湾岳山頂から約1キロメートルの場所(大和村所有地)に、防衛省が通信所を建設する計画があることが報じられた(朝日新聞、2017年11月26日)。当該地は、世界自然遺産候補地の緩衝地帯にあり、核心部分である推薦区域に隣接している。さらには、アマミエビネ(環境省CR)やコゴメキノエラン(環境省CR)、フジノカンアオイ(IUCN VU、環境省VU)、ミヤビカンアオイ(環境省EN)、など様々な地域固有種を含めた希少種が生育する地域である。

世界自然遺産の緩衝地域は、推薦区域の効果的な保護を目的としており、重要な景観および推薦区域とその保護を支える重要な機能をもつ地域を含めることとされ、緩衝地域であっても開発を許容する根拠とは成りえない。

また、ユネスコは世界自然遺産の履行のための作業指針として「完全性」を重要視している。完全性とは「自然遺産または文化遺産とそれらの特質のすべてが無傷で包含されている度合いを測るためのものさしである」としており、奄美大島においては、その顕著な普遍的価値が発揮されるために必要となる固有の生態系や生物相を包含していることが求められる。日本自然保護協会としては、そうした点から現状の推薦書の内容では「完全性」に大きな課題が残されており、希少な固有種が多く生育する湯湾岳の当該地周辺も推薦区域とするべきであると認識している(日本自然保護協会 2017)。

これらの観点から今回の建設計画は看過できるものではない。

2016年に新種としてアマミチャルメルソウが発見される(Okuyama 2016)など、奄美大島には現代においても未知なる生物種が発見されるほど豊かで奥深い生物相が存在する。世界自然遺産候補地であり、類稀なる生物多様性の宝庫である奄美大島での新たな開発行為は決して許されるものではない。

以上の事から、日本自然保護協会は、奄美大島での通信所建設計画撤回を求める。

 

以上

ご参考:

朝日新聞(2017年11月26日)防衛省通信所建設に懸念 自然遺産推薦地そば
日本自然保護協会(2017)奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島世界自然遺産推薦地の視察に関する要望書
Okuyama, Y. (2016) Mitella amamiana sp. nov., the First Discovery of the Genus Mitella (Saxifragaceae) in the Central Ryukyus. Acta Phytotax. Geobot. 67 (1):17-27.

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