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大浦湾・辺野古の護岸工事着手に対する抗議書を出しました

2017.04.25
要望・声明

2017年4月25日

内閣総理大臣  安倍 晋三 様
内閣官房長官   菅 義偉 様
国土交通大臣  石井 啓一 様
防衛大臣    稲田 朋美 様
環境大臣    山本 公一 様
沖縄・北方担当大臣 鶴保 庸介 様
沖縄防衛局長 中嶋 浩一郎様

 

公益財団法人 日本自然保護協会
理事長  亀山 章

 

日本政府による米軍普天間飛行場代替施設建設事業の護岸工事着手に対する抗議

 
米軍普天間飛行場代替施設建設事業(以下、「同事業」)について、昨年12月末より日本政府が工事に伴う作業を再開しており、汚濁防止膜の設置など護岸工事に必要な準備を終えたことから、本日護岸工事に着手したと報じられている。日本自然保護協会は、事業に関して予定地の生物多様性豊かな自然環境を守る市民運動に取り組んでいる立場から護岸工事着手に対して、以下の理由から強く抗議する。

第一に、和解に伴う作業停止期間(2016年3月~12月)は、科学的調査も停止されていたことから、日本政府も沖縄県も最新の環境の情報を持っておらず、事業者である日本政府の姿勢は環境への影響を回避しようとしているとは考えられない。今年1月31日に開催された「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会」は、以前の情報を用いて検討を行っているだけであり、同委員会に属する委員には科学者としての姿勢に疑問を感じる。

第二に、2015年の沖縄県水産課の調査結果「H26年度 大浦湾内コンクリート製構造物等 設置状況確認業務報告書(平成27年9月)」から、すでに投下されているコンクリートブロックにより同海域のサンゴとサンゴ礁は影響を受けていることがわかる。加えて、今年に入り11.2~13.9トンのブロックが合計228個も投下されている。

昨年、沖縄県や鹿児島県で過去最大級のサンゴの白化現象が発生し、その多くが死亡したことを受けて、環境省は今月23日に専門家からなる緊急の会議を開き、緊急宣言が出された。緊急宣言では、2070年代には日本近海からサンゴが消滅する可能性が示唆されていることから、気候変動の緩和だけでなく今あるサンゴやサンゴ礁を保全する人為的圧力の低減を始めとする適応策の実施も重要であるとしている。

2018年は3回目の国際サンゴ礁年であり、世界的に保護の機運が高まっている。このようななか、自ら貴重なサンゴ礁を埋め立てることは生物多様性保全および国際社会の流れにも逆らうものであり、本工事はサンゴとサンゴ礁に重ねてダメージを与えることとなる。

第三に、すでにジュゴンの行動に影響が及んでいることである。1990年代は沖縄島東海岸にて多くのジュゴンの目視記録や食痕の記録があり、2014年には臨時制限区域の内外でジュゴンの個体Cのものと思われる食痕が数多く記録されていた(U.S.Marine Corps Recommended Findings 2014、沖縄防衛局 2015など)。その後、毎年春に来ていた臨時制限区域外のチリビシのミドリイシ群集付近の水深19mに広がるトゲウミヒルモ群集においても、2015年春が最後の利用記録となっている(北限のジュゴン調査チーム・ザン、日本自然保護協会の調査結果、沖縄防衛局によるシュワブ水域生物調査報告書(2015、2016)およびジュゴン監視等業務より)。

つまり、ジュゴンの生息域であった辺野古・大浦湾をジュゴンが放棄せざるを得ないようなことが起こったと推測され、音に敏感なジュゴンがボーリング調査や監視船に伴い生じる騒音の影響を受けて、本海域の利用が難しくなったと考えられる。

上記の理由から、日本自然保護協会は本海域の持つ生物多様性を日本の財産として保全することを求め、護岸工事着手に強く抗議する。

ご参考:

  1. 日本自然保護協会「日本政府による米軍普天間飛行場代替施設建設事業のコンクリートブロック投入などの作業再開に対する抗議」(2017年2月7日)
  2. 日本自然保護協会「米軍普天間飛行場代替施設建設事業の公有水面埋立承認の撤回について再度の要望書」(2017年4月17日)
  3. 環境省「サンゴ大規模白化緊急対策会議の開催結果について」
    http://www.env.go.jp/press/104002.html

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