日本政府による米軍普天間飛行場代替施設建設事業の工事再開に対して抗議文を出しました。
日本政府による米軍普天間飛行場代替施設建設事業の工事再開に対する抗議(PDF/141KB)
2016年12月27日
内閣総理大臣 安倍 晋三様
内閣官房長官 菅 義偉様
国土交通大臣 石井 啓一様
防衛大臣 稲田 朋美様
環境大臣 山本 公一様
沖縄・北方担当大臣 鶴保 庸介様
沖縄防衛局長 中嶋 浩一郎様
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章
日本政府による米軍普天間飛行場代替施設建設事業の工事再開に対する抗議
12月20日に辺野古違法確認訴訟にて沖縄県の敗訴が確定し、同月26日に沖縄県知事による埋め立て承認取り消しを取り消し処分したことを受けて、日本政府は本日午後より工事に向けた作業を再開すると報じられている。日本自然保護協会は、事業予定地の生物多様性豊かな自然環境の保全と安全で安心な暮らしを守る立場から、工事再開に対して強く抗議する。
同事業に係る環境影響評価は科学性に欠け、環境保全措置の有効性も担保されず、市民との意見交換も十分に行われないまま終了した問題のある手続きであった。
辺野古・大浦湾は、沖縄県自然環境保全指針ランクⅠに指定されており、今年4月に環境省より重要海域の1つとして選定され、ラムサール条約登録湿地の候補地となり、国内外から生物多様性のホットスポットであると認識されている。また、環境影響評価終了後にはジュゴンが高頻度で利用するようになり(U.S.Marine Corps Recommended Findings 2014、沖縄防衛局 2015など)、新種や国内初記録の生物種が発見されるなど(日本自然保護協会、2014)、環境影響評価を行ったときよりもさらに生物多様性が豊かであることが明らかにされている。
今年9月上旬に開催されたIUCN(国際自然保護連合)世界自然保護会議および今月メキシコで開催された生物多様性条約第13回締約国会議では、今後進むであろう気候変動に対応するためにもより一層生物多様性の保全および主流化に注力すべきであるという議論がなされた。
本海域の埋め立て工事再開は、国際社会の流れにも逆らうものであり、本海域の持つ生物多様性を日本の財産として保全することを求め、工事再開に強く抗議する。
▼左:辺野古の海に暮らすジュゴンとウミガメ(撮影:東恩納琢磨))と、右:ジュゴンの貴重な餌場である辺野古の海草。