普天間飛行場代替施設建設事業に係る岩礁破砕許可の撤回と公有水面埋立承認の撤回について要望書を出しました。
2016年12月26日
沖縄県知事 翁長雄志 様
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章
普天間飛行場代替施設建設事業に係る岩礁破砕許可の撤回と公有水面埋立承認の撤回についての要望
本日、沖縄県より昨年10月に取り消した普天間飛行場代替施設建設事業に伴う埋め立て承認の処分を取り消す通知を沖縄防衛局に送付したことが公表された。この処分がなされたことに対し、日本自然保護協会は事業予定地の生物多様性豊かな自然環境の保全と安全で安心な暮らしを守る立場から、遺憾に思う。
埋め立て承認の取り消し処分については、特に環境保全の面において、法的瑕疵があることが昨年7月に普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続に関する第三者委員会の手により明らかにされている。従って取り消し処分自体に誤りがあったとする取り消しよりも、撤回の方が適切であったと考える。
日本政府は、明日にも工事海域を取り囲むフロートの設置からはじめ、年明けにはボーリング調査や汚濁防止膜の設置に伴うコンクリートブロックの投下などを行う予定であると報じられている。
来年3月まで岩礁破砕許可が効力を持つことから日本政府は3月まで工事を進めることが可能である。また昨年12月に当会から提出した「沖縄防衛局による岩礁破砕の有無の確認に関する沖縄県の判断についての質問と岩礁破砕許可取り消しの要望」に記したように、当会は自然保護団体として、埋め立て予定地の臨時制限区域内外に設置されたコンクリートブロックはすでに当海域のサンゴ礁に影響を与えていると判断している。撤回するに値する十分な理由があるため、即時の岩礁破砕許可の撤回を要望する。
さらに、より長期的な視野に立ち、公有水面埋め立て承認の撤回の実施を要望する。行政行為の成立後に新たな事情が発生したことを理由に将来の効力を失わせる撤回の理由については、2012年以降に生息が確認されている3頭のジュゴンのうち1頭が大浦湾を利用する頻度が年々高まっていることや(U.S.Marine Corps Recommended Findings 2014、沖縄防衛局 2015など)、埋め立て承認後に同海域で新種や日本初記録種が発見されていることが理由である。
沖縄県には沖縄の大切な財産である辺野古・大浦湾のサンゴ礁を守っていただきたい。
上記より、同事業について以下のことを要望する。
- 1)岩礁破砕許可の即時の撤回
- 2)埋め立て承認の早期撤回
参照:
沖縄防衛局による岩礁破砕の有無の確認に関する沖縄県の判断についての質問と岩礁破砕許可取り消しの要望
(写真左:東恩納琢磨、右:日本自然保護協会)