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沖縄県土砂搬入規制条例改正に関する陳情を再度提出しました。

2016.12.07
要望・声明

「沖縄県土砂搬入規制条例改正に関する陳情」陳情書本文(PDF/174KB)

 


28日自然 第63号
平成28年12月5日

 
沖縄県議会議長 新里米吉殿

東京都中央区新川1-16-10 ミトヨビル2F
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章

 

沖縄県土砂搬入規制条例改正に関する陳情

 

2015年11月に施行された沖縄県土砂搬入規制条例(公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例)の施行後、最初の事例として那覇空港滑走路増設事業が対象となり、事業に伴う奄美大島からの埋め立て用石材の搬入が行われた。その過程で、現在の条例のもとで行われる外来生物の混入調査には以下のような問題があることが明らかになった。

1)届出から受理までの期間が短かすぎること

事業者の届け出が行われてから受理までの審査期間90日間では、沖縄県による調査が十分に信頼性をもって行ないという問題がある。また、その90日間が、那覇空港滑走路増設事業の審査が冬季(12月~3月)に当たったように、冬季に当たると昆虫の蛹や卵、植物の種子などの土砂や石材への混入を見分けることが困難である。「沖縄県公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する専門委員」(以下、専門委員と記す)をつとめる6名の委員のうち3名からヒアリングを行ったが、いずれも冬季は特に外来生物の混入のチェックの条件が厳しいとのことであった。

2)普天間代替施設建設事業やその他の規模の大きな開発に対応できない

(1)
普天間代替施設建設事業では、那覇空港滑走路増設事業のために奄美大島から運び込んだ25万立方メートルと比べて68倍に相当する1,700万立方メートルという大量の土砂が持ち込まれる。さらには、那覇空港滑走路増設事業には奄美大島から持ち込まれた石材が使われたが、辺野古の埋め立てには石材ではなく土砂が用いられる。石材よりも土砂の方が外来種混入の確認・調査は困難である。専門委員へのヒアリングにおいても那覇空港滑走路増設事業に用いた方法をそのまま土砂に応用することは厳しいという意見である。
(2)
普天間代替施設建設事業には6県7か所の採石場から土砂が持ち込まれる予定である。予定通りの場所から調達されない場合においても、調達先が広範囲にわたり、土砂の分量が多いことには変わりがない。
(3)
今後、観光や軍事施設の建設のために規模の大きな開発が行われる可能性がある。

3)プロセスが市民に共有されていない

埋め立て土砂への外来生物混入の調査の過程は、市民に公開されていない。「おわりに」に記したように外来生物の混入の調査は広く生物多様性保全のためのステークホルダー(biodiversity stakeholder)が関与することが国際的基準である。

以上のことから、以下の点に対応できるよう、同条例を改正するよう、陳情する。

  1. 届出が出されてから受理されるまでの期間を長くする
  2. 大量の土砂に対し届出が出された場合に対応できるようにする
  3. 那覇空港滑走路増設事業の埋め立て用石材の外来生物混入の調査の過程を市民に公表する
  4. 3同様、今後行われる埋め立て土砂の調査の過程、専門委員との会議の議事録などを広く市民に公開する

 
おわりに

本年9月上旬に行われたIUCN(国際自然保護連合)第6回世界自然保護会議の総会では侵略的外来種の問題が世界で2番目に大きな生物多様性への脅威であると認識され、「侵略的外来種に関するホノルルチャレンジ(The Honolulu Challenge on Invasive Alien Species)」が採択され、今後、同問題に関してより一層の行動を起こしていくことが強調された。特に島嶼生態系の持続可能な利用にとって外来種の侵入経路をおさえ、あらかじめ「予防する」ことの大切さが確認され、また世界の外来種の事例および駆除にかかる費用がまとめられたデータベース(Global Invasive Species Database)の活用が強調された。

また、世界自然保護会議の最後の日には、ホノルルチャレンジを含む形で、広い自然保護の分野に関するハワイコミットメントが今後の自然保護に関する指針として採択された(添付)。さらに日本自然保護協会など日本の自然保護団体6団体の提案による勧告「島嶼生態系への外来種の侵入経路管理の強化」には、日本政府に対し、大量の資材を生物地理区分を越えて運ぶことは、外来種侵入の大きなリスクを伴い、この問題をクリアするには多くの要求を満たさなければならないことを認識するように促している。

辺野古の埋め立て土砂に関し、勧告に準拠する対応を行うように対応を求められているのは日本政府であるが、沖縄県でも対策を強化することには大きな意味がある。また同勧告には生物多様性保全のためのステークホルダーのコミットメントの重要性が書かれているが、この単語は市民、行政、専門家など全ての関係者という意味合いであるため、沖縄県が自ら条例を厳しくすることは同勧告をより一層意味のあるものにするという姿勢を示すことになる。

 

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