種の保存法の改正が大詰めを迎えています。パブリックコメントで現場の声を届けてください
絶滅のおそれのある野生動植物を守るための国の法律「種の保存法」について、来年度の改正に向けた検討が大詰めを迎えています。
同法は2013年に21年ぶりに改正され「国内希少野生動植物種を2020年までに300種新規指定する」などの意欲的な目標が掲げられ、改正後2年間で86種の追加指定が実現しました。改正前89種だったことを考えれば大きな前進ですが、種指定だけでなく指定後の保全を進め絶滅の危機をなくすことが最終目標となるため、今まで以上の努力が求められます。
さらに、法改正後の国の予算・人員はほとんど増加していないため、予算・人員の確保に加え、行政だけでなく多様な主体との連携による保全の推進などの新しいしくみを法改正に入れ込むことが急務になっています。
環境省は法改正のための検討会を今年度5回開催。第一回検討会でNACS-Jは専門家ヒアリングに登壇し、生息地等保護区の指定や保護増殖計画を国民が提案できる制度の新設など、多様な主体との連携を軸とした15項目の法改正の提案を行いました。その後、計4回の検討会の議論を経て環境省は法改正の方針を提示しました。
この中には、生息地等保護区の強化(違法採取防止のため種名を公表しない生息地等保護区の設定)、常設の科学委員会の設置、動植物園と連携した生息域外保全の推進など、注目すべき改正の方向性が示されたものの、生息域内における多様な主体との連携のための具体的な施策が乏しく、指定後の保全が進まない恐れがあります。
この方針に対するパブリックコメントは11月以降に予定されているので、皆さんも注目いただき、ぜひこの機会に現場からの意見を環境省に届けてください。
※NACS-Jの提案や意見書の詳細は、>>>こちらをご覧ください。
▲愛好家などの無断立ち入りに悩んでいた土地所有者から立ち入り制限の希望もあり保護区指定が実現した事例(長野県条例)。国設の生息地等保護区は現在9カ所のみで、国民からの提案制度などの推進のしくみが不可欠。