続いて、福島の「只見ユネスコエコパーク」の支援委員会に出席してきました。
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10月9日から10日は、只見でユネスコエコパークの支援委員会がありました。只見は会報でも報告させていただいたように、他のユネスコエコパークの人と自然の共生モデルになるほどの場所ですが、少子高齢化が顕著で高齢化率は4割を越えています。人口は5000人をきっており、このままでは、数十年後には町を維持できなくなくなるではないかとも言われています。
今回は、現地視察ということで、”ヒロロのかばん作り”の現場と、来年度から総合調査が予定されている「沼ノ平」を視察しました。
かばん作りは、坂内きいさんのお宅におじゃましました。ヒロロとは、かばんの材料にするミヤマカンスゲのことです。ほかにも、シナノキ(オオバボダイジュ)、シラスゲなど身近にある材料を使うそうです。シナノキは、樹皮を剥いで水につけて乾燥させると内樹皮がうすく剥がれる性質をうまく使ったものです。細く割いたものをよじりながら、互い違いに編んでいきます。80過ぎだそうですが、11月の伝統工芸品まつりに向けて出品も考えているとのこと。只見においても、このようなかばんを作れる人は数人しかいないそうです。
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坂内さんのお宅で、ヒロロを使ったかばん作りを見せてもらいました。
翌日は、地滑り地形に成立した湖沼群からなる沼ノ平を視察しました。ここは、県が観光開発を町に持ちかけ基礎調査まで行われたのですが、只見町のエコパーク推進課がまったをかけて、観光開発が保留になっている場所です。
以前は林野庁のレクリエーションの森として設定されていましたが、森林生態系保護地域に編入されることになったため、今回調査を実施することになりました。途中までは道がついており、ガイド付きであれば入山できるそうですが、脆弱な湖沼群や湿地が見られるため観光開発をして人が自由に立ち入りすることができるようになれば、少なからずインパクトがあると考えられます。しかし、これまで詳細な調査も実施されていません。今回は大きな地滑り地にできた最大の湖であるにごり沼まで視察しましたが、地形図には現れない段差やクラック、崩壊斜面などが連続し、ルートを藪こぎしながら探していきました。
今後の調査にも注目していきたいと思います。
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サワグルミが4年前の福島新潟豪雨で枯死し、大量のブナの実生が芽生えていました。
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地滑り地形の凹地に成立する湖沼、バイカモが花を咲かせていました。
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大規模な地滑り面。私たちが立っている場所は、大規模崩壊した跡の岩や礫が堆積したデブリ