普天間飛行場代替施設建設事業に伴う辺野古違法確認訴訟への福岡高裁那覇支部の判決を受けて 日本政府への抗議声明
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2016年9月16日
内閣総理大臣 安倍 晋三様
内閣官房長官 菅 義偉様
国土交通大臣 石井 啓一様
防衛大臣 稲田 朋美様
環境大臣 山本 公一様
沖縄・北方担当大臣 鶴保 庸介様
沖縄防衛局長 中嶋 浩一郎様
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章
普天間飛行場代替施設建設事業に伴う辺野古違法確認訴訟への福岡高裁那覇支部の判決を受けて日本政府への抗議声明
9月16日、沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、石井啓一国土交通大臣が沖縄県の翁長雄志知事を訴えた「辺野古違法確認訴訟」で福岡高裁那覇支部は、国土交通大臣側の請求を認め、県側敗訴の判決を言い渡した。
日本政府は、米軍普天間飛行場代替施設建設事業に関して、沖縄県に対し、これまで地方自治法に基づく国の是正指示や代執行訴訟などを行ってきたが、今年3月に代執行訴訟の和解案受け入れに伴い、全ての裁判を取り下げ、同時に同事業の工事に伴う全ての作業を停止してきた。
しかし、日本政府は裁判所から沖縄県との和解協議を求められているにも関わらず、この7月に辺野古違法確認訴訟を沖縄県相手に起こし、今回の結果に至った。
日本自然保護協会は、事業予定地の生物多様性豊かな自然環境の保全と安全で安心な暮らしを守る立場から、今回の判決を受けてあらためて日本政府の対応に対して強く抗議する。
9月上旬に開催されたIUCN(国際自然保護連合)世界自然保護会議では、ここ数年にわたり高水温の影響を受けて大きなダメージを受けているサンゴ礁の保全に関する課題が大きく取り上げられ、サンゴ礁のさらなる保全や気候変動の時代に即した保全、海洋保護区の拡大など海の保全に関する複数の勧告が採択された。普天間飛行場代替施設建設事業予定地を含む沖縄島周辺のサンゴ礁も例外ではない。
併せて、異なる気候帯や生物地理区分を超えて運ばれる同事業の埋め立て土砂に伴う外来種の問題に言及し、注意を促す勧告「島嶼生態系への外来種の侵入経路管理の強化」も採択された。
日米政府は、国際社会の一員として、これまで4回にわたり出されてきたIUCN世界自然保護会議で決議された勧告を真摯に受け止め、沖縄の大切な財産であるサンゴ礁を守り、民意や地方自治の大切さを考慮し、辺野古・大浦湾の埋め立てを中止するべきである。