小笠原に出張してきました
保護室の辻村です。
2016年7月27日から8月1日の行程で小笠原に出張してきました。昨年の12月に続き、日本自然保護協会の理事でもあるアウトドアメーカーのパタゴニアの篠さん、同じくパタゴニアの藤倉さんに同行し、企業や民間団体が今後自然再生事業にどうかかわっていけるのか、またかかわっていくべきなのか、新たな自然再生の枠組みを作れないのかなどの可能性を探っています。
7月27日、まずは新しくなったおがさわら丸に乗船しました。これまでの25時間半から24時間と、片道1時間半短縮されました。船内のアメニティは格段に良くなり、長い船旅を過ごすのはだいぶ快適なったと思います。ただ、個人で過ごす時間が良くなった分、船内で知り合いになり人のつながりが広がっていくという以前の船旅の良さは少し薄れてしまうのではとも感じました。
同時に以前は、都会の快適さから船での不便さという”鳥居”を時間をかけてくぐることで無意識に別世界へといざなわれていました。船旅の快適さが向上することで、この”鳥居”効果がどうなるのか気になるところです。もちろん、快適さは重要です。その分、世界自然遺産に行くことの意味や、人の移動そのものが新たな外来種の移動のリスクとなることなどのメッセージを、どう自然に意識してもらうようにするのか、新たな課題として考えていく必要があるのではと感じました。
現地では、海での保護問題として、マイクロプラスティックがどのくらい砂浜にあるのかの調査を、島民で自然観察指導員でもある宮川典継さんの主導で試行して頂きました。見た目にはわからない(目に見えるサイズではないですから)のですが、ふるい分けをするとかなりの量が砂浜にあることがわかりました。ちょうどウミガメの産卵シーズンの晩期だったので、こうしたごみが海洋生物に与える影響を真剣に考えるべきだと思いました。
昨年の12月に見た森林における外来種の現状、今回の砂浜の現状などを踏まえ、プログラムの骨格が見えてきました。来年には実行できるプログラムになるのではと期待しています。
また今回、今までの出張で訪れることがかなわなかったジニービーチ(道がないので、カヤックなどでしか行けません)にも行くことができました。そこの風景や空気、大地に触れることで、自然保護団体の職員として、それ以上に一人の人として、この美しい島の自然と僕の大好きな島の人たちの自然を背景とした心の奥底からの笑顔を、絶対に後世に引き継ぎたいという想いを改めて強く感じました。
新しくなったおがさわら丸の船内
船内の注意喚起パネル。人の動線から少しはずれている。
現地での打ち合わせその1
現地での打ち合わせの様子その2
ジニービーチ。道がないのでカヤックなどで行くしか方法はない。
小笠原の夕景。