環境影響評価制度の実効性強化のための提言
環境影響評価制度の実効性強化のための提言~日本自然保護協会の環境影響評価制度に対するポジションペーパー~ (PDF/244KB)
2016年3月9日
公益財団法人日本自然保護協会
理事長 亀山 章
環境影響評価制度の実効性強化のための提言
~日本自然保護協会の環境影響評価制度に対するポジションペーパー~
はじめに
日本自然保護協会は設立以来60余年にわたり、日本の自然を保全する活動を行ってきた。この活動のなかで1992年に「環境影響評価法のあり方を実践的に研究する検討委員会」を設置し、議論を深めていった。同時に積極的なロビー活動も展開し、①環境影響の審査は専門家による第三者機関が実施するべき、②計画立案段階で実施する複数の代替案を持つ制度にするべき、③市民参加の保証、意見の反映、公平で正しい情報の開示の仕組みづくり、④生態系への影響予測・評価のために、生態学的指標を地域の条件に合わせて選定するべき、という点を柱とした主張を展開した。
こうした活動の結果、我が国では1997年6月にようやく環境影響評価法が可決・公布され、1999年6月に完全施行された。これにより、それまで閣議決定が根拠であった環境影響評価制度が法制化され、かつ、「環境」の対象範囲が環境基本法で示している環境一般に広がることとなった。
法制化されたことにより規制が強化された意義は大きいが、一方で成立後から、①事業段階では環境影響の緩和措置が限定される、②事業そのものの是非を問えない、③多数の事業の累積影響を評価できない、④対象事業の規模要件による手続き逃れが行われる、⑤海岸法など、対象外事業の存在、⑥住民参加の機会が少ない、⑦情報の公開性の不備、⑧環境影響評価の公平性・中立性の担保が弱い、などの課題が日本自然保護協会をはじめとする自然保護団体等から指摘された。
こうした課題を解決する必要性が高まり、環境省は法施行10年を経過した2008年から検討を重ね、2011年に環境影響評価法を改正し、2013年から完全施行した。これにより、①事業の計画段階により踏み込んだ配慮書手続きの新設、②風力発電事業や交付金事業など、対象事業の拡大③方法書段階での説明会の義務化、④電子縦覧の義務化、⑤事後調査の実施と公表の制度化、等の改善が図られた。
この結果、計画段階により踏み込んだ段階で環境への影響評価が実施されるようになり、風力事業等の計画段階で厳しい環境大臣意見が出されるようになった。また、電子縦覧の実施と住民意見の提出機会も増えたことから情報公開性とコミュニケーション機能が強化された。
一方で、改正された法律においても、事業実施者自身が環境への影響を評価する点は変わらないために、環境影響の低減措置が限定されるなどの大きな課題は残されたままとなっている。
日本自然保護協会は、生物多様性保全型社会の実現に向け、日本の環境行政上もっとも重要な環境影響評価制度の実効性を強化するために、以下、<新たな法制度の整備が必要な事項>と<現行の環境影響評価法における抜本的改正が必要な事項>の二つに分けて具体的に提言する。
<新たな法制度の整備が必要な事項>
提言1.政策・事業の立案・計画段階での環境影響評価制度である戦略的環境アセスメント法を制定する。
(現状分析と課題)
環境影響評価法の考え方の基本は、重大な環境影響を未然に防ぐことにある。そのためには、計画の早い段階で影響を予測し、必要に応じて計画を修正することが重要である。
我が国では2007年に「戦略的アセスメント制度導入ガイドライン」が作成され、2011年改正の環境影響評価法では、この考え方を導入して事業の位置・規模等の検討段階における配慮書の作成が位置づけられた。
しかし、配慮書は事業の実施決定後の手続きであり、いわゆる事業アセスの枠内であるため、事業を実施しない「ゼロオプション」の検討が必ずしもなされないなど、環境への影響の低減措置が限定されるという課題がある。
また、複数の事業が同一地域で計画されていても、一つ一つの事業主体が異なるため、累積的・複合的影響を評価することができない。例えば、ハナノキなど絶滅危惧種が多く生育する岐阜県中津川市の小湿地群では、リニア中央新幹線の車両基地計画と同時に、リニア関連工区として位置づけられた濃飛横断自動車道路の計画、さらには住宅地開発計画が同一地域にあり、これら計画により小湿地群の基盤環境に大きな影響が生じると多くの専門家から指摘されている。
現状では、「行政機関の行う施策の評価に関する法律」に基づいて上位計画段階の事業評価が行われているが、環境への影響について十分に評価する仕組みとはなっていない。事業及び施策の立案段階から環境への影響を踏まえた意思決定が行われる仕組みが必要である。
(提言)
以上の課題の解決のためには、事業の立案段階での環境影響評価制度である戦略的環境アセスメント法の制定が必要である。
その内容には、①ゼロオプションを含む複数代替案の比較検討、②複数事業の複合的影響の評価、③プロセスの公開性・透明性の確保、が必要不可欠である。
提言2.大規模災害後の復旧・復興事業に関する環境影響評価制度を制定する。
(現状の分析と課題)
災害復旧・復興事業は緊急性が高いため原状回復の観点で環境影響評価の適用除外となる場合がある。早期に生活環境や社会環境の復旧を果たす必要性から、平常時の手続きとは異なることは当然である。一方で、2011年3月11日に発生した東日本大震災からの復興のように、原状復帰ではなく土地利用を根本的に見直したうえでの土地区画整理事業や、現状の規模を著しく拡大した防潮堤建設等が実施される場合も少なくない。緊急性という条件下ではあるが、自然現象に端を発する自然災害からの原状復帰の規模を超える復旧や復興を実施する場合、自然環境への影響を評価したうえでの計画立案が必要である。その際には、計画立案段階で環境影響評価を実施した方が、計画決定後の環境影響評価を実施する場合よりも短期間の手続きで十分評価できる可能性が高いと考えられる。
(提言)
大規模災害後の復旧・復興事業に関して、計画立案段階での環境影響評価制度を制定する。
<現行の環境影響評価法における抜本的改善が必要な事項>
提言3.環境影響評価法の対象事業を拡大して、すべての開発事業で生物多様性に配慮したスクリーニングを行うこと。
(現状分析と課題)
現行の環境影響評価法では、その対象は、事業の種類で指定され、かつ一定規模以上のものに適用されている。このため、例えば、対象事業とされていない海岸法に基づく防潮堤建設事業は、海岸生態系に与える大きな影響が懸念されるにもかかわらず、影響の回避・低減について評価されることなく事業が進められる。また、埋め立て事業に伴う大量の土砂については、購入した場合について、影響評価の対象外である。一方で、トンネル工事等で大量に排出される建設残土については、同一事業内で処理せず、別事業での受け入れとなった場合については対象外である。このように、現行法では、対象外となっている事項で、その大きな影響が懸念されるものについて、何ら環境への影響を評価し、その影響を回避・低減する方策のない事象が存在している。このため、対象事業の拡大は喫緊の課題である。
対象事業を拡大する場合、重要な自然環境が確実に保全されるようにするには、生物多様性保全を配慮したスクリーニングが重要であり、生物多様性条約の付属書「生物多様性を組み入れた環境影響評価及び戦略的環境影響評価のためのガイドライン」に沿ったスクリーニングの運用が重要である。
(提言)
環境影響評価法の対象事業の範囲を拡大し、すべての開発事業とそれに伴う行為において生物多様性に配慮したスクリーニングを実施し、重要な自然環境が確実に保全されるようにすること。
提言4.環境影響評価の手続き中に計画変更があった場合における、方法書段階に戻る手続きのやり直し規定を設ける。
(現状分析と課題)
普天間飛行場代替施設建設事業では、手続き途中の準備書段階で方法書に記載のなかったオスプレイの配備計画が新たに加わった。追加記載された計画については、十分な検討がされていない調査項目や内容にもとづいて評価がされたため、環境配慮に不備が生じる原因となった。
このような大きな計画変更があった場合には、評価方法を見直さなければ環境への影響を回避・低減することはできない。
(提言)
環境影響評価の手続き中に計画変更があった場合における、方法書段階に戻る手続きのやり直し規定を設け、環境への影響回避、低減措置の実効性があるようにするべきである。
提言5.環境影響評価手続き終了後の「軽微な」計画変更の環境省への通知を義務化し、通知を受けた環境省は、環境への影響の度合いに応じて事業者を適切に指導する。
(現状分析と課題)
ラムサール条約登録湿地である中池見湿地を横切る北陸新幹線計画では、環境影響評価の手続き終了後に線路の線形及び位置の変更が行われた。変更されたルートでは、変更前よりも明確に自然環境への影響が大きいと想定されるにも関わらず、環境影響評価法施行令第13条で定められている「軽微な」変更幅の範囲内であるため、事業者の判断のみで変更可能とされた。
辺野古大浦湾海域での普天間飛行場代替施設建設事業では、環境影響評価手続きの段階では、200mとされていた係留機能付きの護岸の長さが、手続き終了後に事業者から沖縄県に提出された公有水面埋立承認願書では271mと記載され、規模が大きくなった。構造物の大きさの変更は潮流の変化のシミュレーションへ影響を与えるものであり、潮流のシミュレーションは再度実施しなければ環境への影響の回避・低減措置の実効性を担保することはできない。
これらは事業者が、変更前後の環境への影響の変化の程度を自然の状況に関係なく一律の基準で判断できることに問題がある。
(提言)
環境影響評価法施行令第13条を削除し、手続き終了後に計画変更があった場合には、その規模の大きさ如何にかかわらず、環境影響評価法を所管する環境省に対して計画変更に関する通知を行うことを義務付け、通知を受けた環境省は、環境への影響の度合いに応じて事業者を適切に指導する責務を負い、事業者は事業を中断し環境省の指導に対応する必要がある。
提言6. 環境影響評価書に有効期限を設ける。
(現状分析と課題)
環境影響評価の手続きが終わったあとの事業認可または、本体の着工までに自然環境や社会的状況が変化し、環境影響評価の正確性が問われる可能性がある。
中池見湿地では、北陸新幹線の環境影響評価書が2002年に確定後、計画が認可されたのは2012年であった。その間、中池見湿地の自然環境の重要性が認識され、国定公園への編入やラムサール条約登録湿地への登録など社会的状況が大きく変化したが環境影響評価の有効期限がないため、計画変更の判断に反映されなかった。
(提言)
環境影響評価書に5年の有効期限を設ける。
提言7.住民参加、情報公開をさらに進める。
(現状分析と課題)
2011年に改正された環境影響評価法では、住民が意見を述べる機会が増え、かつ方法書段階での説明会開催が義務化された。これを受け、例えばリニア中央新幹線計画では多くの説明会が開催されるなど、一定の改善は認められた。
しかし現状でも、電子データで公開された環境影響評価の評価書や準備書などが公告期間を過ぎると削除されたり、公開期間中であっても印刷ができない状態であることもあり、第3者による検証がしにくい。
環境への影響の回避・低減を確実に進めていくためには、事業者が環境保全に関心のある住民や、専門家の意見を取り入れ、計画を改善していくことが確実になされる制度でなければならない。
また、自然環境分野での環境への影響回避・低減のための具体的な措置には不確実性を伴うことも多い。このため、事業者が意見を聞く専門家については、その専門性について意見を聞くにふさわしい立場であるかについて証明する必要がある。
(提言)
希少動植物種や自然環境の保全が確実に実施されるために、公告期間を環境影響評価の手続き中の全期間に拡大し、この間、印刷・閲覧可能な電子データによる公開を義務付け、それによって利害関係にない専門家や住民が妥当に手続きが進められていることを確認・検証できるようにする必要がある。
同時に、環境影響評価の手続き書の必須記載項目に、事業にかかわる専門家の氏名、所属機関を付け加えることも重要である。
提言8. 影響を回避することのできた自然環境の保護を担保する措置を設ける。
(現状分析と課題)
環境影響評価の手続きの中で回避措置を行い、実際に自然環境が保全された種や区域については、その事業が実施されたのちの保護担保措置が確保されていない。そのため、例えば、ダム事業による影響を回避された猛禽類の生息地において、別の事業計画が計画されることがあり、その後も保全されるとは限らない。
中池見湿地では、液化天然ガス基地計画の環境影響評価が1992から1996年に行われ、湿地への環境影響が大きいとして市民やNGO、専門家により多くの意見が出され、2002年に事業が中止になった。しかしその後、回避された同地域で北陸新幹線計画が具体化した。
(提言)
関係自治体、主務官庁などの行政機関に、回避された重要な自然環境に対して保護担保措置を実施することを義務付ける。
また、それにむけて、環境影響評価法ならびに自然環境保全法、種の保存法等の関連法を改正するべきである。
提言9.希少動植物種の事前調査が環境を攪乱しない仕組みが必要である。
(現状分析と課題)
環境への影響回避・低減を確実なものにするために、事業者が環境影響評価の手続きに従う調査以前に、事前調査を行うことは環境影響評価法の理念に合致する。しかし、事前調査が環境を攪乱させることもある。例えば、普天間飛行場代替施設建設事業では、方法書作成前に事前調査として海底調査機器(ジュゴン用のパッシプソナー、水中カメラ、サンゴの着床器具、海象機器など)の設置を伴う調査が実施された。この事前調査がジュゴンの生息行動域や生活史に影響を与えていた可能性が高く、その結果の影響評価について過小評価となっていることが専門家から指摘された。
事前調査によって本調査前に環境を改変してしまうのであれば、環境影響評価の意味をなさない。このような環境改変をともなう事前調査は避けなければならない。
(提言)
希少動植物種の事前調査については、関係機関や利害関係にない専門家、その場の自然環境の知識をもつNGO等も含めた協議の場を設けて、調査の必要性の可否も含め、調査方法や期間等の詳細の合意をえて実施すべきである。
提言10.環境保全措置等の事後評価のための第三者による監視委員会の設置と、その公開を義務付ける。
(現状分析と課題)
2010年の環境影響評価法の改正では、環境への影響回避・低減措置の効果を評価するための事後調査の報告義務が加わった。重要な追加であるがまだ報告書が作成された事業はない。
一方でこれまでも、事後調査が実施され、事業者側で独自に専門家会議を設置している事例はあり、その姿勢は評価できる。しかし、自然環境分野での影響回避・低減措置では、不確実性をともなうことがあり、その効果を確実なものにしていくためには、事後調査結果を評価する第3者による監視委員会を設置し、公開の場で保全措置が妥当であるかを議論・検証する必要がある。
(提言)
環境保全措置等の事後調査の評価のための第三者による監視委員会の設置を義務付ける。また検証結果が妥当であるかを関係者も含めて広く検証できるようにするため、会議は原則公開とし、すべての議事録や資料を公開することが重要である。
提言11. 環境影響評価図書は環境省図書館への納入を義務付け、希望する国民が二次利用できるようにする。
(現状分析と課題)
これまでに多くの事業で環境影響評価の手続きが行われ、自然環境の情報が収集され評価されてきた。環境影響評価が行われた事業の一覧は環境省が整理し公表しているが、その手続きの中で確認された自然環境の情報は国民に共有されていない。
そのため、調査の重複や自然環境保全上重要な地域への情報不足による開発計画立案がある。これまでの環境影響評価の手続きの中で蓄積された情報が国民に共有される仕組みがあれば、事業計画段階での立地計画において、自然環境への配慮が充実し、事前に影響を回避することが可能になる。
(提言)
環境影響評価図書は国立国会図書館支部環境省図書館に納入を義務づける。希望があればコピーなど二次利用ができるようにすべきである。
提言12.耐用年数を迎えた構造物を撤去する際のアセスメント規定を設ける。
(現状分析と課題)
今後、全国のダムなどで耐用年数を迎えるものが多く出ることが想定される。例えばダムを撤去する場合には、作り直すにせよ、完全撤去するにせよ、堆砂や汚泥が下流河川に放流されるため、河川環境に大きな影響が及ぼされることが想定される。しかし現行法では、構造物の撤去についての環境影響評価手続きの条項がない。
(提言)
耐用年数を迎えた構造物を撤去する際のアセスメント規定を設けることが必要である。
提言13.環境影響評価における「人と自然との豊かなふれあい」に関する評価を充実する。
(現状分析と課題)
現行法で「人と自然との豊かなふれあい」に関する評価は、視覚的に捉えられる景観とレクリエーションとしてのふれあいの場の評価しかなされていない。本来の人と自然との豊かなふれあいには、地域の人々が重要と考える自然・社会環境への影響を評価することが重要である。
たとえば、リニア中央新幹線計画のトンネル坑口にある長野県大鹿村では一日に最大1700台の工事用トラックが生活道路を占拠する。予測される騒音や振動が環境基準を下回っていたとしても、地域の住民が重要と考える、安心して生活できる静かな村という環境への影響は評価されていない。
(提言)
人と自然との豊かなふれあいに関する評価を、視覚的に捉えられる景観やレクリエーションとしてのふれあいの場のみの評価から、地域が重要と考える自然・社会環境への影響を評価する仕組みとする。
提言14.団体訴権を法に位置付け、不服申し立て制度を構築する。
(現状分析と課題)
1992年の「環境と開発に関する国際連合会議(UNCED)」で合意された「環境と開発に関するリオ宣言」では、「環境問題は、それぞれのレベルで、関心のあるすべての市民が参加することによって(中略)求償及び救済を含む司法的及び行政的な手続きに効果的に参加する機会が与えられなければならない。」と明記されている。
このリオ宣言は、環境影響評価の手続きにおいても最大限尊重することが求められるが、日本においては、自然環境保全について情報の提供や参加の機会が不十分な場合でも、原告適格の範囲が狭く、団体訴権も認められていないために、司法的な救済機会がない。
環境省による、環境影響評価制度の施行状況や課題について分析整理を行い、検討すべき課題や論点を明らかにすることを目的とした「環境影響評価制度総合研究会の報告書」(平成21年7月)においてもその他の課題として、議論され、今後の課題として継続議論が必要と整理されている。
(提言)
自然環境保全の立場から、市民への情報の提供や参加の機会が不十分と判断された場合の、司法的な救済機会を充実するために、環境影響評価法に団体訴権を位置付け、不服申し立て制度を構築することが必要である。また、訴訟中には、事業を休止することは当然である。
提言15. 法第33条を改正し、免許等に係る環境の保全の配慮についての審査の際には許認可権限を持つ主務大臣は、環境大臣の意見を聞くことを義務づけ、環境への配慮が確実に履行されるようにするべきである。
(現状分析と課題)
リニア中央新幹線計画の環境影響評価の評価書では、厳しい環境大臣意見が示された。しかし、補正評価書においては「今後検討する」や「適切に対処する」等の事業者の見解が示され、これに基づいて、認可権限を有する国土交通大臣により着工の認可がおりた。これは、補正評価書に対する環境大臣意見の提出機会がないため、評価書段階で出された意見を確実に反映する仕組みになっていないためである。
環境影響評価法では、その手続きの過程において環境への影響がより具体的に回避・低減されることが重要である。事業認可の際に、具体的には補正評価書での環境への影響回避・低減措置に対する環境大臣の意見を聞くことが必要である。
(提言)
環境影響評価法第33条を、環境への配慮が確実に履行されるよう改正し、免許等に係る環境の保全の配慮についての審査の際に、許認可権限を持つ主務大臣は、補正評価書に対する環境大臣の意見を聞くことを義務づける。
以上