綾でユネスコエコパーク登録後の変化を聞き取る町民アンケートの検討や、間伐作業、ふれあい調査、林床植生調査と、大忙しの3日間を過ごしてきました。
エコシステムマネジメント室の朱宮です。
綾の照葉樹林プロジェクトでは、毎月、調整会議を開催しています。11月27日の調整会議では、翌日の間伐作業の最終確認と、現在NACS-Jに来ている筑波大学のインターン生の外崎さんが綾町で町民向けにユネスコエコパーク登録後の変化についてのアンケート調査を検討しており、それに関して調整会議で提案をしました。
アンケートは綾町に協力してもらえると全戸配布することも可能となり、また、ユネスコエコパークに登録されて町にどのような変化があったのかある程度客観的な評価が必要だと考えていたため、できるだけ公的な形で実施できるようにしたいと思っています。事前に関係者にはアンケートの原案を送っていたこともあり、特に反対する意見はなかったもののアンケートの聞き方や細かい部分については、意見がありました。
例えば、質問項目に「綾町では『綾の照葉樹林』が有名ですが、あなたにとって日頃『綾の照葉樹林』は身近な存在ですか?」というものがありましたが、「身近である」ことについては人それぞれであり、身近であると答えとしても、森に入って作業をしていたり、くらしの中で直接関係しているということを意味しない場合もあり、集計した場合に過大評価あるいは過小評価する可能性があるのではないか、とのコメントもありました。ほとんどの町民は、そもそもイベントを開催していても、広報先が限定されており知らないのは当たり前であるとのコメントもありました。アンケートの作成は難しいものです。
翌28日は、隣の国富町にソーラーパネルを製造している工場があり社会貢献としてお手伝いをしたいということでソーラーフロンティアの社員の方に参加していただいて、間伐作業を実施しました。8年前に実施した場所でさらに伐採を行いました。
現場は自然林に隣接する場所ではありましたが、シカの食害を受け10年たっても稚樹がほとんど育っていませんでした。シカが食べないサザンカやイヌガシなどがわずかに見られるだけでした。それでも今年はコジイやイチイガシなどの実生が伐採した残材の陰などに見られました。こうした、実生が生存できるよう手当が必要なのかもしれません。
てるはの森の会は、杢道地区の人と自然のふれあい調査に続いて川中神社周辺のふれあい調査を実施しています。28日の間伐作業の後そこに参加させていただき、林業集落で作業していた佐伯義明さんに昔の様子をお聞きしました。
▲佐伯さんを囲んでの聞き取り調査
また、29日はボランティアによる林床植生調査を実施したのですが、その帰りに佐伯さんらに教えていただいた集落の跡を視察しました。昔70~80人が住んでいたという集落跡や、炭焼き小屋の跡を探して歩くのはとても興奮する経験でした。特に、炭焼き小屋が完璧な状態で残っていたのを見つけた時はびっくりしました。まだまだ、知らないことがたくさんあります。
▲林床植生調査
▲炭焼き小屋