沖縄県知事の公有水面埋立承認の取り消しを支持し、政府に米軍普天間飛行場代替施設建設事業の中止を求める要望書を提出しました。
米軍普天間飛行場代替施設建設事業の中止を求める要望書(PDF/157KB)
2015年10月13日
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
内閣官房長官 菅 義偉 様
防衛大臣 中谷 元 様
沖縄防衛局長 井上 一徳 様
環境大臣 丸川 珠代 様
沖縄・北方担当大臣 島尻 安伊子様
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章
米軍普天間飛行場代替施設建設事業の中止を求める要望書
沖縄県知事のもとで設置された普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続に関する第三者委員会は、この事業の手続きにおいて法的な瑕疵があることを公表しています。また沖縄県外および県内から調達する予定の2,100万立方メートルにも及ぶ埋め立て土砂については、沖縄防衛局が非公開で設置した普天間飛行場代替施設建設事業資材調達検討委員会において匿名の専門家5名が採取地や運搬方法等を決めたものであり、作業が土砂調達地および埋め立て地の環境に与える影響について科学的に検証されたものではありません。
本事業の環境保全措置の不備については、2012年2月に環境影響評価書に対して、仲井真弘多前知事が「評価書で示された環境保全措置等では、事業実施区域周辺域の生活環境及び自然環境の保全を図ることは不可能と考える」と公表しました。その後、評価書は補正されたものの、本計画が有する根本的な問題は何も解決されていません。現在、設置されている普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会においても補正は続けられていますが、委員の役割について委員自身が正確に把握しておらず、事業者からの同委員会への情報提供に不備があるなど大きな問題があり、現場の情報をもとに科学的な判断を下すことができるような状況にはありません。
これらのことから、本計画を遂行することにより、想定外の規模で環境への影響が及ぶことが考えられます。
日本政府は、2010年に名古屋で開催した生物多様性条約締約国会議(CBD/COP10)で、生物多様性条約戦略計画2011-2020(通称、愛知ターゲット)を採択し、サンゴ礁の保全を積極的に行う旨を記した目標10を採択しました。また沖縄島北部の辺野古海域に隣接する「奄美・琉球」を、世界遺産登録の暫定リストに加え、さらには辺野古・大浦湾を生物多様性の保全上重要度の高い重要海域の一つにも選定しています。その一方で、生物多様性の豊かな辺野古・大浦湾の海域を埋め立てる手続きを進めることは、国として矛盾した姿勢です。
日本の重要な宝である辺野古・大浦湾海域を失うことがないよう、良識に基づく判断を下すことを要望します。
写し:沖縄県知事 翁長 雄志様
名護市長 稲嶺 進 様
撮影:有光智彦