赤谷の森の自然林復元試験地や間伐地の現在の様子。
エコシステムマネジメント室の朱宮です。
10月12日~13日、赤谷プロジェクトの植生管理ワーキンググループの現地視察及び検討ワーキンググループがありました。
1日目は小出俣のカラマツ斬伐試験地、自然林復元試験地、2日目は赤谷林道沿いと小出俣林道沿いの自然林復元のための間伐実施箇所と予定箇所の視察を行いました。ワーキンググループから森林総合研究所の田中浩氏、酒井武氏、山梨県森林総合研究所の長池卓男氏が参加しました。
カラマツの斬伐試験地は先月9年目のモニタリング調査を実施し、その集計結果を元に議論をしました。9年前と比較して、タラノキやヌルデなどの先駆種が消失し、エゴノキ、オオバアサガラ、ウワミズザクラ、リョウブなどが優占していました。樹高も最大で8m前後になっており、林床は暗く草本類などは消失していました。最初の年は実生、稚樹、成熟木と詳細に調査を実施していましたが、今後は実生調査などは簡略化してもよいのではないかなどアドバイスをいただきました。
自然林復元試験地については、当初は自然林からの距離や人工林履歴(1代目:1970年に32年生広葉樹林を伐採してスギ人工林にした、2代目:1971年に52年生ヒノキ人工林を伐採し、スギ人工林にしていた)による違いを想定していましたが、現地を見ると伐採後の再生状況は立地条件によってモザイク状に異なっており、他の要因も考慮する必要があるのではないかなどのアドバイスをいただきました。
▲自然林復元試験地の南側の端:2代目のスギ人工林を40m×250m幅で伐採後4年が経過している。隣接する自然林の陰になり自然林からの距離は近いが、定着する植物が極端に少ない。
▲自然林復元試験地の様子:20m×150mで等高線に直行するように伐採。1代目:さきほどの復元試験地より100m程度標高が高く傾斜も強い。伐採年は同じだがタケニグサやクマイチゴなどが多く優占し、木本種の侵入が少ない。この違いはもともと低木など稚樹が少なかったせいなのか、標高や地形など立地が原因なのか、履歴が要因なのかこれから検証していく必要がある。
翌日は赤谷林道沿いの自然林復元のための間伐実施箇所2か所の視察を行いました。いずれも一定の間隔での列状間伐ではなく択抜による伐採でした。作業道も入り林内はかなり明るくなっていました。
▲赤谷林道沿いの間伐地の様子
植生管理ワーキンググループは川古温泉で行われました。その中で、モニタリング調査については、これまでのデータをきちんと整理し、論文としてまとめること、結果を広報することと市民参加の方法についても検討すること、林野庁が第5次地域管理経営計画を策定準備中ですが、植生管理WGとしても意見を述べることなどが検討されました。