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京都、亀岡市のアユモドキの生息環境保全に意見を提出

2015.06.04
要望・声明

平成27年6月4日

「京都府公共事業評価に係る第三者委員会」事務局御中
京都スタジアム(仮称)整備事業について

意見:

京都スタジアム(仮称)整備事業は候補地の見直しもしくは計画の中止とするべきである。

理由:

京都スタジアム(仮称)の事業予定地には、天然記念物及び国内希少野生動植物種に指定されたアユモドキが生息している。アユモドキは、環境省の第4次レッドリストにおいて絶滅危惧ⅠA類(CR)にリストされている。絶滅危惧ⅠA類の判定基準は文末の参考①に示した通りであり、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いものが指定されている。事実、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究科岩田明久教授(NPO法人亀岡人と自然のネットワーク)調べの、推定個体数の推移(平成16年9月~平成26年9月)を見ても、増加傾向は認められず、喫緊の5年間では顕著な減少傾向が認められる(参考②)。

種の保存法では、「野生動植物の種を圧迫している主な要因は、過度の捕獲・採取、人間の生活域の拡大等による生息地若しくは生育地の消滅又は生息・生育環境の悪化等であり、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図るためには、まず、これらの状況を改善することが必要である」と基本方針を示している。この観点及び現状の生息数をもとに本種の保全を考えれば、京都スタジアム(仮称)事業を新たな事業方式で推進する状況ではない。優占されるべきは現状での生息地の保全と、生息環境の改善である。

したがって、これまで京都府や亀岡市および関係する市民の方々が一体となって進めてきた保全活動や対策を継続するとともに、国も積極的に新たな自然再生のための取り組みと域外保全を連携させていくことを実施することが重要である。

少なくとも推定個体数に継続的な増加傾向が認められるようになるまでは、本種の生息地に新たな開発行為は実施しないことが本種の保全にはもっとも優先されるべきことと考える。よって、京都スタジアム(仮称)整備事業は候補地の見直しもしくは計画の中止とするべきである。

参考①:判定基準(絶滅危惧ⅠA類) (環境省㏋より該当箇所引用)

A.次のいずれかの形で個体群の減少が見られる場合。

  1. 過去10年間もしくは3世代のどちらか長い期間(注2.以下同じ)を通じて、90%以上の減少があったと推定され、その原因がなくなっており、且つ理解されており、且つ明らかに可逆的である。
  2. 過去10年間もしくは3世代のどちらか長い期間を通じて、80%以上の減少があったと推定され、その原因がなくなっていない、理解されていない、あるいは可逆的でない。
  3. 今後10年間もしくは3世代のどちらか長期間を通じて、80%以上の減少があると予測される。
  4. 過去と未来の両方を含む10年間もしくは3世代のどちらか長い期間において80%以上の減少があると推定され、その原因がなくなっていない、理解されていない、あるいは可逆的でない。

B.出現範囲が100k㎡未満もしくは生息地面積が10k㎡未満であると推定されるほか、次のうち2つ以上の兆候が見られる場合。

  1. 生息地が過度に分断されているか、ただ1カ所の地点に限定されている。
  2. 出現範囲、生息地面積、成熟個体数等に継続的な減少が予測される。
  3. 出現範囲、生息地面積、成熟個体数等に極度の減少が見られる。

C.個体群の成熟個体数が250未満であると推定され、さらに次のいずれかの条件が加わる場合。

  1. 3年間もしくは1世代のどちらか長い期間に25%以上の継続的な減少が推定される。
  2. 成熟個体数の継続的な減少が観察、もしくは推定・予測され、かつ次のいずれかに該当する。
    • 個体群構造が次のいずれかに該当
      • 50以上の成熟個体を含む下位個体群は存在しない。
      • 1つの下位個体群中に90%以上の成熟個体が属している。
    • 成熟個体数の極度の減少

D.成熟個体数が50未満であると推定される個体群である場合。

E.数量解析により、10年間、もしくは3世代のどちらか長い期間における絶滅の可能性が50%以上と予測される場合。

参考②:アユモドキの推定個体数(外部リンク:亀岡市のウェブサイト)

http://www.city.kameoka.kyoto.jp/kankyousoumu/ayumodoki/documents/suiteikotaisuu.pdf
 

参考③:これまでの日本自然保護協会のアユモドキ生息地保全の活動

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