鹿児島県・奄美の砕石地で潜水調査を行い、フォーラム「奄美の海山を守り、沖縄に連帯する」で講演しました。
保護室の安部真理子です。
海の生き物を守る会と日本自然保護協会は5月29日、辺野古沿岸部の埋め立て土砂採取予定地、奄美大島住用町の市集落で、沿岸部の潜水調査を実施しました。速報でその様子とその後の報道についてお伝えします。
採石地から流れ込んだヘドロの中に、キクメイシ属のサンゴが埋まっている様子が見て取れました。
調査の様子が、南海日日、奄美新聞、沖縄タイムス、琉球新報、毎日新聞に掲載されました。
沖縄タイムスは1面トップ掲載でした。
「辺野古埋め立て:土砂採取予定地の奄美、海底にヘドロ」
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=117635 (紙面の一部WEB掲載)
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市集落は砕石地からの度重なる土砂流入で漁業被害などの苦情が相次いでいたが、実態が明らかになったのは初めて。
・通常は海底にない石もあちこちにあった。砕石による以外の影響は考えにくい
・ストレスに強い種類のサンゴしか確認できなかった。
・サンゴ以外の生き物がほとんど見られなかった。
・ヘドロ状の泥が厚く堆積していた。
・透明度が低く、1m程度。
・ウエットスーツに泥がつくほど土砂が堆積していた。
かつては「命の海」で、泳げばトコブシやシラヒゲウニが足の踏み場もなく見え、ブダイやチヌが多く獲れる海だった。しかしながら透明度は悪化するのみ。昨年まで学校の遠泳が行われていたが、今年は行われない見通し。市集落出身で県外に長く住んでいた住民は「こんなことになっているとは思わなかった。涙が出そうになった」と語った。
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写真はジャーナリストの渡瀬夏彦さんからお借りした記者会見の様子と私のウエットスーツについた泥の様子です。
そして翌30日は、自然と文化を守る奄美会議と海の生き物を守る会の主催でフォーラム「奄美の海山を守り、沖縄に連帯する」が開かれ、その様子が地元の南海日日新聞は1面トップに奄美新聞8面、沖縄タイムスと琉球新報にも掲載されました。
向井宏先生(海の生き物を守る会)からはジュゴンや海草藻場、そして採石が海に与える影響などについてお話がありました。
私からは「辺野古の埋め立てが環境に与える影響」と題し、辺野古の埋立や奄美とのつながりについて話しました。前日に見た海中の調査結果の概略もお伝えしました。
奄美会議の薗さんからは40年間にわたる奄美の環境問題への取り組み、プロサーファーの碇山勇生さんからはサーファーを中心とした活動の紹介がありました。
写真は向井宏先生(海の生き物を守る会)とプロサーファーの碇山勇生さん。
聴衆には採石業者の方も来ており、「私達は砕石で飯を食べている。商売だから沖縄に売ってもいいじゃないか。」という意見も出て、また採石場を閉めるのにもコストがかかるためやむを得ず放置状態になっている場所もあるとの指摘がありました。
また「大島紬が下火になり、奄美に売れるものは石しかない。仕事もない。辺野古を止めさせる手段に奄美の砕石業を利用しないで欲しい。」という声も。
「山を崩しては売り、崩しては売ってきたが、経済的に苦しいままで(土砂崩れ防止の)後処理ができずにいる。沖縄に売り出せば(山を)きれいにするチャンスになる」という訴えもありました。また「また基地を造らせていいのかという想いもある。奄美の土を使うなんてとんでもない」という意見もありました。
土曜日にも関わらず100名以上の方のご参加があり、関心の高さがうかがえる場となりました。
★琉球新報 「島の自然守れ」 奄美で新基地フォーラム 沖縄と連帯論議
★朝日新聞 鹿児島)辺野古移設反対、奄美でフォーラム