東北の復興に向けて、地域の魅力を知り、自然観察会のコツを学ぶ研修会を開催しました。
普及室の大野です!
5月23日、岩手県大船渡市の三陸復興国立公園「碁石海岸」で自然観察指導員フォローアップ研修会「地域の自然を理解して観察会のコツを学ぶ」(共催:自然観察指導員ネットワーク岩手、協賛:株式会社 日清製粉グループ本社)を開催しました。
昨年7月に同じ会場で開催した自然観察指導員講習会を受講した方たちを中心に、岩手県内や宮城県などから28名の方が集まりました。
▲太平洋に広がる三陸の海をバックに自然観察のコツを学ぶ
野外実習では、大船渡市立博物館館長の佐藤悦郎さんが、日本ジオパークに認定されている碁石海岸の魅力を解説され、目の前の岩礁の風景は何億年もの地殻変動によりできたことに思いをはせつつも、復興のあり方にもっと自然に謙虚にあってもいいのではないか・・・というお話もありました。
▲ジオと津波を語る、大船渡市立博物館館長の佐藤さん
NACS-J講師の秋山幸也さんは、ウミネコを題材に翼や尾の配色や顔や嘴の色を観察したり、大きさや重さを考えてみる・・・とのプログラムの工夫を披露されました。工夫ひとつで、参加者の観察意欲が湧いてくるものです。
▲ウミネコの顔ってアイシャドウに口紅で厚化粧?!
午後は、秋山さんから「自然観察からはじまる自然保護」と題して、講習会のおさらいを兼ねて講義があり、観察会を地域で行うこと大切さを再認識しました。
ワークショップでは、経験のある人もそうでない人も一緒に、自然観察会をはじめるコツと続けるコツを話し合いました。最近企業の会議でも取り入れられているワールド・カフェ形式で、課題を出しあい、テーブルを廻りながら、経験話しやアイディアを重ねました。
世代も経験も様々ななか、情報発信や仲間づくりにもいろいろな手法があることや、地域のなかでも団体同志の交流や連携が必要なことなど、各テーブルで「収穫」できたことがたくさんあったようです。さて、明日からの活動のヒントが見つかったでしょうか。
▲ワールド…と言っても、東北の「お茶っこ」の雰囲気で和やかに会話もすすみました。
宿泊は会場近くにある民宿。三陸の海で捕れた新鮮なホヤやカジキマグロの兜煮を味わい、更に交流を深め、深夜まで語り合った部屋もあったようです。
翌24日は、オプションツアーとして、大船渡市三陸町綾里(りょうり)地区で里山保全活動をする「大小迫(おおこばさま)つむぎの家」を見学しました。
千田耕基さん・永久世さんは400年続く里山を管理し生き物調査をし、地元の子どもたちに開放しています。震災時には、地域の方たちの一次避難所となり、水や薪、食料など供給したそうです。この日も日曜日にも関わらず、子どもたちが訪れ、思い思いの時間を里山で過ごしていました。
▲この綾里地区でもシカの被害に悩まされています。
東北の震災復興として開催してきた自然観察指導員講習会。今回参加された自然観察指導員のみなさんが、東北の自然の魅力と文化を大切にした地域づくり、復興につなげた活動をできることから展開してくださることを期待しています。
▲碁石海岸の海をバックに記念写真。この近くにカラス?に食べられたウミネコの卵がありました。
【メディア掲載】
岩手日報(5月23日)「碁石海岸で自然を観察 大船渡で指導員研修会」
東海新報(5月26日)「野外活動などで腕磨く 自然観察指導員の研修会」
(紙面のみ)
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