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「南アルプスは大丈夫?登山者の立場からリニア新幹線を考える」に参加してきました

2015.05.25
活動報告

icon_syumiya.jpg エコマネジメント室の朱宮です。

5月20日、渋谷のモンベル渋谷店(東京)で「南アルプスは大丈夫?登山者の立場からリニア新幹線を考える」(主催:リニア新幹線を考える登山者の会)に、保護室の辻村が講演しました。このイベントの主催が登山者の会であり、リニア問題に対して登山者からの動きもはじまったと感じています。

話題提供者は、辻村のほか、志水哲也さん(山岳ガイド、写真家)、前島久美さん(大鹿100年先を育む会)、コーディネーターは山岳ガイドの山田哲哉さんでした。当日は60名定員の会場に120名近くが集まり、用意していた資料が足りなくて途中でコピーを増やしたけれどそれでも足りなくなる程でした。

志水さんは有名な登山家であり山岳写真家ですが、30年前の大井川の様子やその後の黒部峡谷での溯行や谷の風景をお話くださいました。あまり人には知られていない深山幽谷の世界があるが、最近巨大な堰堤が突然建設されていたりしてびっくりした、といった経験なども紹介していただきました。

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辻村からは、2011年5月から始まった環境影響評価書の問題点についてお伝えしました。

  1. リニア新幹線ルートは世界的にみても隆起速度が速い南アルプスを通過する計画で、かつ隆起速度は一定ではなく大震災などで一度に大きく隆起する可能性がある。
  2. 地上部で痕跡が確認されているものだけでもいくつもの活断層の上を通過しており、ルート自体が危険な上、東海道新幹線の代替ルートとならない。
  3. 地下水への影響については、過去にも山梨実験線のトンネル工事により周辺の沢が涸れているにもかかわらずきちんと評価されていない。
  4. 建設により生じる残土は約2000mの高さの窪地に運ぶとしているが、ヒ素など有害物質が含まれる可能性や土砂崩壊などの危険性があるのではないか。
  5. 猛禽類等への環境影響軽減措置(コンディショニング)として営巣地を移動するそうだが、原則は工事を回避しなければならないとして環境省も述べている。
  6. 志水さんも語っていたように、南アルプスの自然の価値の大きなものの一つは広大なエリア内に人口構造物がほとんどないこと、風景がなくなることはその土地の歴史がなくなることに等しいこと。

などを指摘しました。しかし2011年に国土交通省はリニア建設を認可したので、法的には意見を述べるタイミングがないこともお伝えしました。タイムキーパーの方がもう少し聞きたいと時間を忘れるほど皆さん納得の様子でした。

前島さんからは、リニア新幹線のトンネル工事等の影響を大きく受ける長野県大鹿村の現在の様子を紹介していただきました。小渋川からみる赤石岳は上高地からみる穂高岳のように美しい景観とのことです。しかし、村内の民宿などにイワナなどの川魚を提供していた養魚場は、変電所になる予定となった。その他にも作業用トンネル4カ所、小渋川を通過する橋梁が建設される予定となっています。前島さんは村内の植生調査を行っており、レンゲショウマ、シラオイハコベ、イナトウヒレンなど希少種も記録していました。最後に、美しい詩やことばで大鹿村を表現してくださり、参加者が大鹿村の美しさや大切さを共有することができました。

参加者からは、今回の講演会では扱えなかったリニア建設の問題として維持費や採算、電磁波、土地強制収用に関する不安や問題点について質問や意見がありました。主催者からは、法的には意見を述べるタイミングがないとしても、消費者の視点からこんなに問題のあるリニア新幹線は選択をしないという意思表示や行動が必要だとの提案がありました。

この様子は、本日5月25日の東京新聞でも取り上げられました。

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