国立・国定公園内の地熱発電所の新設は慎重にすべきと報道されました。
保護室の辻村です。
昨日5月28日の読売新聞の夕刊に国立・国定公園内に地熱発電所を新設する際の規制緩和について、NACS-Jの横山隆一参事のコメントと、先月23日の環境省の検討委員会での辻村の発言が報道されました。
自然を守りながら地熱利用を進めるために、特に優れた景観を持つ原生自然が残り規制が厳しく定められている「特別保護地区や第1種特別保護地域は厳正に保全されることが当然」であり、隣接地からの斜め掘り等の規制緩和はすべきでないという意見を述べました。
読売新聞●「国立・国定講演内に地熱発電 自然保護や温泉 両立課題」
日本自然保護協会 横山隆一参事のコメント
再生可能エネルギーを重視する方向性には賛成だが、国立・国定公園内での発電計画は慎重に進めるべきだ。特に特別保護地区、第1種特別地域への傾斜掘削には強く反対する。
自然湧出する温泉、火山噴気、間欠泉は、森林や河川と一体になり、地域固有の自然景観を形成している。事前に調査しても、自然に本当に影響しないかどうかは、生産井を掘ってみないとわからない。
温泉の自然湧出などは、いったん失われたら元に戻せない。こうした事態を招く可能性をゼロにできないような開発は、第2、第3種地域はともかく、特別保護地区や1種地域では認めるべきではない。温泉が枯れたという訴えがあっても、因果関係をきちんと調べ、責任の所在を明らかにする仕組みが整備されていないことも問題だ。
生産井の掘削後に予定通りの出力が得られないと、環境影響評価なしで生産井が追加される。生産井が詰まるたび、掘り増す際も同様だ。適地選定は、自然保護団体や湧出泉源を守ってきた人の話を十分聞きながら進めるべきだ。