中池見湿地 北陸新幹線の開発計画のある深山を散策してきました。
こんにちは、自然保護部の福田真由子です。
モニタリングサイト1000のコアサイトでラムサール条約湿地にもなった福井県の中池見湿地を、私は2010年頃から担当していますが、周辺の山に登る機会がなく4月5日にやっと深山(みやま)を散策することができました。
▲ 新緑が美しい深山(みやま)
深山は標高166mの山で中池見湿地やその下流にある「うしろ谷」の大切な水源地です。北陸新幹線の計画ルートでもトンネル建設が予定されています(2002年に計画されたルートでもこの山を貫通します)。
4月5日は雨でしたが、毎週のように歩いていらっしゃる地元の方と哺乳類の専門家の4人で春の植物と哺乳類を中心に観察してきました。足元にはたくさんのスミレ達が咲き、トキワイカリソウもたくさん見ることができました。山にはタムシバや、ダンコウバイ、アセビ、クロモジなどの樹木の花が咲き、見るだけでなく香りも感じることができました。
▲タムシバ(モクレン科)は比較的低い木なのでおしべとめしべを観察することができます。アクセサリーにしたいくらい芸術的!
低木でたくさんあったのはツルシキミの白い花。よく見ると上部がなくなっている様子。中池見湿地で哺乳類を調査しているC氏が「鹿です。斜面のゆるいところでねぐらをとっています」と教えてくれました。そのほかイノシシの新しい寝床とタヌキのため糞がすぐ隣同士のところもあるなど、哺乳類の密度の濃さに驚きました。
▲枝を敷き詰めてつくったイノシシの寝床。枝もまだ新しい。中池見湿地ではイノシシの掘り返しが増加している。
山を降りて、2002年に計画されたルートで深山のトンネルの入り口にあたる場所を見てきました。このルートでもラムサール条約湿地内を貫通します。自然豊かな山と湿地の自然にできる限り影響のないルートや工法がしっかり検討されるよう願うばかりです。
▲新幹線計画が予定されている深山の斜面。2002年の図面でみると、畦が曲がっている付近。